エアバス, 機体, 解説・コラム — 2023年6月29日 22:15 JST

エアバス、ベルーガXL最終6号機お披露目 いたずらっぽく笑う”シロイルカ”

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 エアバスは現地時間6月29日、大型輸送機A330-700L「ベルーガXL(BelugaXL)」の6号機(試験登録記号F-WWYX)が塗装工場を出場したことを明らかにした。6機体制を構築する計画であることから、エアバスは「何か大きなものがこっそり出てきました。最新(そして最後)のBelugaXLをご覧ください」と紹介している。これまでの5機は胴体に描かれた「目」がぱっちりと開いていたが、6号機はいたずらっぽく笑っているような表情だ。

塗装作業を終えたエアバスのベルーガXL 6号機(同社提供)

塗装作業を終えたエアバスのベルーガXL 6号機(同社提供)

 ベルーガXLはA330-200F貨物機をベースに開発され、A300を基にした大型輸送機A300-600ST「ベルーガST」の後継機。コンポーネントや機器は既存のものを再利用するが、コックピットや貨物室などは新規に開発された。エンジンは、英ロールス・ロイス製トレント700を2基搭載し、2020年1月9日に就航した。

 輸送力をベルーガSTよりも30%向上させ、A350の主翼を2つ同時に運べるようにした。機体断面は1メートル広くなり、ペイロードも12%増えている。ベルーガSTとベルーガXLともに、全機がエアバスの子会社「Airbus Transport International(ATI、エアバス・トランスポート・インターナショナル)」によって運航されている。

 ベルーガはシロイルカを意味する愛称。エアバスは5機のベルーガSTを、6機のベルーガXLに更新する計画を進めており、XLの6号機が塗装作業を終えたことで機材更新も終盤に差し掛かっている。

 更新後のベルーガSTは、エアバスが2024年に設立を予定している特大貨物輸送サービス「Airbus Beluga Transport(ABT、エアバス・ベルーガ・トランスポート)」を担う新会社が運航を引き継ぐ。ベルーガSTの設計寿命が5万回のフライトであるのに対し、全5機の平均が1万5000回程度と余裕があることから、ヘリや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに運べる特徴を生かしたビジネスを立ち上げた。

 ABTの設立に先立ち、2021年12月に警察庁が発注したエアバス・ヘリコプターズの大型ヘリコプター「H225 スーパーピューマ」1機を、ベルーガSTが仏マルセイユからワルシャワ、ノボシビルスク、ソウル(仁川)、関西空港経由で神戸空港に運んだ。今年5月にも、海上保安庁が発注した2機のH225を神戸へベルーガSTが運んでいる。

塗装作業を終えたエアバスのベルーガXL 6号機(同社提供)

塗装作業を終えたエアバスのベルーガXL 6号機(同社提供)

最初に就航したベルーガXLの2号機=19年6月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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