MRJ, 機体 — 2019年4月17日 08:15 JST

三菱航空機、ボンバルディア提訴に「やましい点なし」 MRJ開発、主張は平行線

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 三菱航空機の水谷久和社長は4月16日、カナダのボンバルディアが同社を提訴したことについて「やましい点はない」と述べ、全面的に争う姿勢を示した。双方の主張が異なることから、解決には時間がかかる見通し。

ボンバルディアからの提訴について「やましい点はない」と述べる三菱航空機の水谷社長=19年4月16日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ボンバルディアは2018年10月19日に、三菱航空機を米ワシントン州シアトルの連邦地裁に提訴。ボンバルディアの機密情報を入手するため、小型旅客機Cシリーズ(現エアバスA220)の開発に携わった社員らを雇用し、三菱航空機がリージョナルジェット機「MRJ」の開発段階で情報を不正利用したと訴えた。

 米国子会社の米国三菱航空機はこれに対し、「ボンバルディアの企業秘密を不正使用しておらず、かつ、適法に採用活動を行っているとの認識」との声明を発表。12月20日に提訴却下を申し立て、MRJの開発阻害が意図と批判している。

 水谷社長は16日の会見で「双方で違う見解がある。事象が出たときから『われわれにはやましい点はない』というのは今も変わっていない」と述べた。「公の場ではっきりとさせていただく」とし、全面的に争う姿勢を示した。

 地元紙シアトル・タイムズなどの報道によると、機体の安全性を航空当局が証明する「型式証明」の取得に向け、三菱航空機と協力会社の米エアロテックがCシリーズの開発に携わった元社員らを雇用し、TCCA(カナダ航空局)とFAA(米国連邦航空局)の型式証明(TC)に関する機密文書とデータを不正流用したとの主張を報じている。

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