エアライン, 官公庁 — 2019年4月10日 11:44 JST

ANAとエアージャパンに業務改善勧告 国交省、パイロット飲酒問題で

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 国土交通省航空局(JCAB)は4月9日、パイロットの飲酒問題について全日本空輸(ANA/NH)と、同じくANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)に業務改善勧告を行った。4月23日までに再発防止策を提出させる。

国交省から業務改善勧告を受けたANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAでは、2月19日の神戸発羽田行きNH412便(ボーイング777-200ER型機、登録記号JA707A)の出発を、30代男性副操縦士(2月26日付で懲戒解雇)が飲酒により乗務前にアルコール反応が複数回検出され、乗員交代により1時間半以上遅延させた。

 エアージャパンでは、3月15日の羽田発香港行きNH821便(767-300ER、JA623A)の出発を、パイロット派遣会社から派遣された40代男性副操縦士(4月4日付で契約解除)が飲酒により乗務できず、乗員交代により遅延させたほか、会社の聴取に対して虚偽の説明をしていた。エアージャパンは、ANAの便名で運航される中近距離国際線や貨物便などを担当している。

 業務改善勧告を受け、ANAは平子裕志社長と清水信三専務、当時フライトオペレーションセンター長だった大井道彰氏の役員報酬について、それぞれ1カ月分を20%減額する処分を下した。

 エアージャパンは、当時の井戸川眞社長の役員報酬1カ月分を20%減額、当時の黒澤和博常務の役員報酬1カ月分を10%減額。また、ANAとエアージャパンの親会社であるANAHDの片野坂真哉社長の役員報酬も1カ月分を20%減額する処分を実施した。

 国交省は9日にANAとエアージャパンのほか、3月5日に起きた副操縦士のアルコール検査未実施でジェイエア(JAR/XM)を文書による厳重注意とし、2018年12月2日に日本航空(JAL/JL、9201)の機長がアルコール検査の替え玉を行ったことに対し、乗務停止処分を下している。替え玉を依頼した機長Aは航空業務停止120日、引き受けた機長Bは同10日とした。JALに対しては、すでに12月21日付で事業改善命令を出している。

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