エアライン — 2019年3月15日 20:12 JST

ANA系エアージャパン、副操縦士からアルコール検出で9分遅延 厳重注意後に再発

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)は3月15日、国際線に乗務予定だった40代男性副操縦士から乗務前にアルコール反応が検出され、15日の羽田発香港行きNH821便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA623A)のパイロットを交代させた。乗客187人(幼児1人含む)を乗せた同便は、定刻より9分遅れの15日午前1時4分に羽田を出発し、香港には8分早着となる同日午前4時52分に到着した。

アルコール反応が検出されパイロットが交代したエアージャパン=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 エアージャパンによると、副操縦士は乗務前々日の13日に成田市内の自宅で午後8時ごろからビール(330ml)を4本飲み、午後10時から1時間ほど成田駅近くのバーでビール(330ml)を8-10本程度と、白ワインをグラス2杯程度飲んだ。

 乗務前日の14日は、午前10時30分ごろに赤ワイン1本を自宅で飲んだ後、午後11時ごろ羽田空港へ出社。ストロータイプの検査機器で乗務前のアルコール検査を実施したところ、社内規定値を超えるアルコール反応が検出された。

 さらに、乗務予定だったNH821便の出発約1時間前となる午後11時40分ごろの検査でも、規定値を超過。副操縦士を乗務から外し、別のパイロットに交代させた。

 乗務前のアルコール検査は、4回実施。午後11時24分実施の1回目では、社内規定を上回る呼気1リットルあたり0.59ミリグラムのアルコールが検出された。6分後の同30分実施の2回目でも0.41ミリグラム、同40分実施の3回目で0.56ミリグラムが検出され、交代が決定。同50分実施の4回目も、0.35ミリグラムが検出された。

 ANAグループでは、パイロットが飲酒できる時間は乗務開始12時間前までとしており、飲酒量は体内で8時間程度で分解できるビール1リットル相当の「2単位」までとしている。副操縦士の13日の飲酒量は、5倍の約10単位に相当するという。

 エアージャパンは、全日本空輸(ANA/NH)の便名で運航される中近距離国際線や貨物便などを担当している。同社では今年2月1日にも、成田発ヤンゴン行きNH813便(767-300ER、JA626A)に乗務予定だった40代男性副操縦士からアルコール反応が検出され、交代させている。

 国土交通省航空局(JCAB)は、エアージャパンなど5社に対し、パイロットに対する乗務前のアルコール検査でアルコール値が国の基準を大きく超えたり、検査を実施せずに乗務したことから、3月8日に厳重注意を行ったばかりだった。5社は22日までに再発防止策を提出する。

関連リンク
エアージャパン
全日本空輸
国土交通省

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