空港 — 2018年12月14日 06:00 JST

関空の災害時、山谷社長が意思決定 浸水対策に3本柱

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 関西と伊丹、神戸の3空港を運営する関西エアポート(KAP)は12月13日、台風など大きな災害が発生した場合の対応策を発表した。予防と減災、早期復旧の3つを柱とし、浸水対策を講じるほか、関係機関との連携を強化する。また、社内での非常時の意思決定を、KAPの山谷佳之社長に一元化する。

—記事の概要—
山谷社長が意思決定
対策本部で25機関連携
運用再開「24時間」
予防と減災、早期復旧の3本柱
利用客への情報提供強化

山谷社長が意思決定

災害の対応策を策定した関西エアポートの山谷社長(右)=18年12月13日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 1994年9月4日に開港した関空は、2016年4月1日に民営化。KAPにはオリックス(8591)と仏空港運営会社ヴァンシ・エアポートが40%ずつ出資し、オリックス出身の山谷社長と、ヴァンシ出身のエマヌエル・ムノント副社長が同格のトップとなっている。

 今後は、非常時が発生した場合の意思決定を、山谷社長に一元化。民営化前に運営し現在は空港設置管理者となっている、国が出資する新関西国際空港会社(NKIAC)の春田謙社長も、KAPの対策本部メンバーとして常駐し、山谷社長の指揮を支援する。

 山谷社長とムノント副社長は、社内では基本的に非母国語の英語でやり取りしている。山谷社長は「意思決定に言葉の壁があるのか、と思われている」と述べ、山谷社長への一元化により「(決定が)滞ることが避けられる」とした。

対策本部で25機関連携

 非常事態が発生した場合には、総合対策本部をKAP社内を本部として設置する。空港運営者のKAPと、空港設置管理者のNKIAC、国土交通省、内閣官房、航空各社、自治体など25機関を集め、連携を強化。2019年4月から開始する。

 山谷社長は9月の台風発生時について、「関係各所との情報共有がうまくいかなかった」と振り返った。今後は関係機関と連携強化し、総合対策本部を設置することで情報の一元化を目指す。

運用再開「24時間」

 台風21号により、関空は9月4日に閉鎖。翌5日夜までに、空港内に閉じ込められていた利用客が脱出した。復旧作業は6日から開始し、翌7日に暫定的に運用を再開した。

 今回策定した、緊急事態に備えるBCP(事業継続計画、Business Continuity Plan)によると、利用客の脱出などの「緊急対応」と「早期復旧」を同時並行することで、24時間以内の運用再開を目指す。山谷社長は「『24時間』をキーワードとして対応していきたい」と意気込みを語った。

予防と減災、早期復旧の3本柱

 台風による高波や高潮のほか、津波が発生した場合に備え、空港等の護岸や防潮壁などにより、島内への浸水を防ぐ。消波ブロックや護岸のかさ上げなどで、島内への浸水を予防するほか、浸水した場合は防潮壁で被害を最小限に食い止める。

浸水対策のイメージ(関西エアポートの資料から)

護岸が損傷した関空島(関西エアポート提供)

 海中に消波ブロックを積み増しする。空港島東側の護岸を、現在の4メートルから5メートルにかさ上げする。また、防潮壁のかさ上げも検討する。

 浸水した場合に備え、排水ポンプの電気施設を鉄骨の箱で覆い、シェルター状にして防護する。空港島内4カ所のスロープに、自動的に起き上がる止水板を設置。第1ターミナル(T1)ビル内への浸水を防ぐ。

 T1地下にある電気設備は、ゴムのパッキンを密着させて水密化を図る。また、電気室や防災センターなど、T1地下にある設備を地上に移す。このほか、大型のポンプ車や小型排水ポンプ、電池式の非常用滑走路灯を導入し、早期復旧を目指す。

 止水板の設置や大型ポンプ車の配備などは、直ちに導入する。防潮壁のかさ上げなどは2019年度末までに、電気設備の地上化は2020年度中、護岸のかさ上げなどは2020年度以降に導入する。

利用客への情報提供強化

 災害発生時の、利用客への情報提供も強化する。放送設備を多言語型に更新し、T1とT2の各ターミナルでは、ディスプレイに緊急情報を表示。音声と映像組み合わせて情報を提供する。

 停電時でも使用できる、バッテリー式の持ち運び可能な防災用スピーカーを配備するほか、非常用多言語拡声装置「メガ・スピーク」を、現在の2台から72台に追加配備する。

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関西エアポート
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当紙編集長が寄稿
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[雑誌]「関空の台風被害は人災」週刊エコノミスト 18年9月25日号(18年9月18日)

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