エアライン, 解説・コラム — 2018年8月16日 23:45 JST

市場に入ると「ブラ!」南太平洋フィジーの首都スバを巡る

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 南太平洋にあるフィジー第3の都市ナンディから成田への乗り入れを、7月3日に再開したフィジー・エアウェイズ(FJI/FJ)。2009年3月以来、9年4カ月ぶりの再就航となった成田発初便に、私(記者)も搭乗した。ナンディに到着後は、子会社のフィジーリンク(FJA/FJ)が運航する国内線を取材しながら、首都スバへ向かった。

フィジー・エアウェイズが掲出した成田就航をPRする広告=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ナンディ国際空港で出発を待つフィジーリンクのATR72-600=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 ナンディからスバ近郊のナウソリ国際空港までは、仏ATR製ターボプロップ機ATR72-600型機に搭乗。直線距離で100キロ少々を、およそ30分かけて飛行した。

 ナウソリに到着したのは、7月のとある平日の午前8時すぎ。その日の夜には、ナンディ近郊で別の取材が入っていたため、午後の便で戻ることにした。

 ナンディに戻るまで、6時間近くある。私は空港からタクシーに連れられ、スバ市内を車窓から観光した。短い時間ではあったものの、フィジーの日常生活の垣間見ることができた気がする。

 街かどでは、成田就航を宣伝する広告が数多く見られ、大々的にピーアールしていた。

—記事の概要—
7月がいちばん寒いフィジー
市場で連発する「ブラ!」
中国資本の影響力大
島を貫く180度経線
陸路土砂降り4時間

7月がいちばん寒いフィジー

南太平洋に浮かぶフィジーの島々(Aviation Wire作成)

 フィジーは豪州の東に位置し、330以上の島々で形成する。最大の島であるビチレブ島の南東部にスバがあり、日本をはじめ長距離国際線が発着するナンディ国際空港は西部にある。

 フィジーの人に聞くと、季節は2種類なのだそうだ。私が訪れた7月は、いちばん寒い時期のようで、街の中では半袖のTシャツにマフラーを合わせる男性や、カーディガンを羽織る女性を見かけた。

 南緯18度付近にあるフィジーは、赤道からもそこまで離れているわけではない。現地を訪れる前は、かなり暑くなることを予想していたものの、当日の気温は20度をやや上回る程度。日本の春に近いように感じられた。一方で海辺は風が強く、羽織るものが必要なのも理解できた。

市場で連発する「ブラ!」

 スバの街中には、地元の食材を扱う市場があちらこちらにある。フィジーで客人をもてなすのに欠かせないコショウ科の木「カヴァ」のほか、チリ(トウガラシ)や手作りの民芸品などが売られていた。

 市場に入ると、カヴァの土っぽい香りが鼻につく。同時に、店員が「ブラ!」とあいさつしてくる。フィジー語で「こんにちは」を意味する言葉で、旅行者も覚えておくべき言葉だ。

 ここへは、ナンディ在住のフィジー・エアウェイズの男性社員が案内してくれた。彼はふと立ち止まり、市場の店員と親しげに話し込んだ。場を離れたときに知り合いかと尋ねると、「初対面だ」という。初対面でも話し込むほど、フィジーの人々は人懐っこいのだろう。気がつくと、私も市場を歩きながら「ブラ!」を連発していた。

地元の食材を取り扱うスバの市場=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

スバの市場で売られているチリ=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

中国資本の影響力大

 小高い丘の上から、スバの港を眺めてみた。中国語が書かれたコンテナを積んだ船が、ひっきりなしに往来している。空港近くの橋は中国の資本で建設したようで、「China Aid」という看板が掲げられていた。

 市内にある中国大使館は立派で、近くにある中国大使公邸も豪邸のような作りだ。スーパーで売っていたツナ缶は、「Pacific Tuna」という名称ながら、中国製だった。

 フィジーをはじめとする南太平洋地域では、中国の影響力が拡大しているのだそうだ。

小高い丘から見たスバの港=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

島を貫く180度経線

南緯18度、東経178度を示すiPhone=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 スバ近郊は、東経178度に位置する。北東に200キロほど進むとタベウニ島があり、島の中心を180度経線が貫く。

 180度経線が陸地を走っている地点は地球上でも珍しく、行ってみたかったのだが、取材が入っていたので今回はあきらめた。

 前出のフィジー・エアウェイズ社員によると、以前はタベウニ島内で日付が変わっており、東側が前日、西側が翌日だったのだという。現在は国内で日付が統一されている。

陸路土砂降り4時間

 ナウソリ国際空港をタクシーで出発してから数時間後、空港へ戻った。スバ滞在もあっという間に終わり、あとはナンディまでひとっ飛びして、夜の予定に備える。つもりだった。

 私が搭乗予定だった便が、キャンセルになったと知らされたのは、空港に着いて2時間ほど過ぎてからだった。

 ビチレブ島の中心部は小高い山々があり、スバ-ナンディ間の移動には航空機を利用するほかは、海岸沿いの一般道を走るしかない。私はタクシーに乗り、土砂降りの中、4時間近くかけてナンディへ戻った。

 ◇ ◇ ◇

 ナンディ近郊で宿泊したリゾートホテルでは、豪州やニュージーランドからやってきた観光客を多く見かけた。両国からフィジーまでは3時間程度なので、彼らには日本人にとってのグアムのような存在なのかもしれない。

 街には学校が多く、昼休みには児童たちが「草ラグビー」に興じる姿をたびたび目にした。ラグビーはフィジー人にとってポピュラーで、欠かせないスポーツのようだ。

 2019年は、日本でラグビーのワールドカップが開催され、多くのフィジー人が来日するだろう。そのときは、彼らを「ようこそ」ともてなしたい。そして次回こそ、タベウニ島を訪れたいものだ。

重厚な作りのフィジーの国会議事堂=18年7月 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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