ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は、関西空港第2ターミナル内に複合訓練施設「MOMO TRAINING LAB(モモトレ)」を開設した。運航の安全性とサービス品質の向上、安定的な人材育成の基盤強化を目的に、パイロット、客室乗務員、グランドスタッフ(地上旅客係員)の訓練に対応。客室のモックアップは、海外で退役したエアバスA320型機の実機を改修して完成させた。

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」の客室モックアップで行われたオーバーヘッドビンに置かれたモバイルバッテリーからの出火を想定した客室乗務員の訓練デモンストレーション=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・「顧客満がない会社は永続性ない」
・A320″実機”で訓練
「顧客満がない会社は永続性ない」
モモトレの敷地面積は約751平方メートルで、テニスコート約3面分。世界最新レベルの設備を導入することで、これまでは他社に委託していた訓練を自社で実施できるようになったほか、実機に近い環境での教育や訓練が可能となり、柔軟で効率的な訓練体制を構築できるという。

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」のA320実機を改修した客室モックアップ=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

モモトレ開設の狙いを説明するピーチの大橋一成CEO=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
報道関係者にモモトレを公開した7月31日、ピーチの大橋一成CEO(最高経営責任者)は「運賃が安いだけでは満足していただけない。“安かろう、悪かろう”の顧客満足がない会社は永続性がない」と、モモトレを開設した狙いを語った。
「LCCだからサービスが悪いではなく、我々にできることはある」と述べ、低価格運賃や安全性だけでなく、定時性やサービスも向上させていきたいという。
A320″実機”で訓練
パイロット向けの訓練施設は、機長養成のための教育・研修に用いるFTD(飛行訓練装置)を設置。実際の景色を奥行きのある形で再現できる「コリメーテッド・ディスプレイ(Collimated Display)」を採用し、よりリアリティーの高い運航環境を再現できるようにした。

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」のFTDでフライト訓練を披露するパイロット=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」でパイロットが使用するFTD=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
客室乗務員向けには、客室モックアップとドアトレーナー、緊急脱出用スライドを備えた。資格取得や維持訓練、安全保安業務や緊急時対応、機内サービスなどを実習形式で行う。実機に近い環境での模擬訓練により、安全とサービス品質の向上を図る。
客室モックアップはA320の実機を使って再現。座席数は50席、4カ所から煙を発生させることができ、火災発生や洋上への着水など、さまざまな状況を想定した訓練ができる。非常口などを自由に設置できるモックアップの利点を生かし、翼上の非常口ドアはA320とA321のドアタイプを左右片方ずつ設置し、ピーチが運航するA320ceo、A320neo、A321LRの計3機種に対応できるようになっている。
ドアトレーナーも実機のドアを採用。ドア越しに見える景色は、洋上や森林、滑走路など約10パターンを用意した。緊急脱出用スライドも、A320の実機と同じ高さから滑り降りるようにした。

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」のA320実機を改修した客室モックアップ=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」の客室モックアップで行われた客室乗務員の訓練デモンストレーション=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」の客室モックアップで行われた客室乗務員の訓練デモンストレーション=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」のドアトレーナーで訓練デモンストレーションを披露する客室乗務員=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」の緊急脱出用スライドで訓練デモンストレーションを披露する客室乗務員=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
グランドスタッフ向けには、空港のチェックインカウンターやユニバーサルデザイン(UD)スロープを備え、接客状況を想定した訓練や養成を、実物に近い環境で実施する。

ピーチの「モモトレ」のグランドスタッフ用訓練施設に設けられたカウンター=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの「モモトレ」のグランドスタッフ用訓練施設に設けられたUDスロープ=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
全職種共通で使用する教室も設置し、座学や振り返りの場として活用する。また、エアラインエンジニア(整備技術職)の国家資格取得に向けた訓練や試験が実施できるよう、調整を進めているという。

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」のFTDでフライト訓練を披露するパイロット=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」の客室モックアップで行われた客室乗務員の訓練デモンストレーション=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」の緊急脱出用スライドで訓練デモンストレーションを披露する客室乗務員=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの複合訓練施設「モモトレ」のドアトレーナーで訓練デモンストレーションを披露する客室乗務員=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ピーチの「モモトレ」のグランドスタッフ用訓練施設に設けられたUDスロープ=25年7月31日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
Peach Aviation
動画(YouTube Aviation Wireチャンネル)
・PeachがA320″実機”訓練施設「モモトレ」
A321LR 関空-シンガポール搭乗記
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A321XLR発注
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