日本航空(JAL/JL、9201)が長距離国際線を中心に投入しているボーイング777-300ER型機が6月30日、羽田-ロサンゼルス線への投入を終えた。羽田発は29日のJL15便、折り返しのロサンゼルス発は現地時間29日のJL15便が最終便となり、羽田へ30日午後5時23分に到着し、後継機のエアバスA350-1000型機へ引き継いだ。JL15便が羽田へ着陸した際には、A350-1000による初便JL16便が羽田を出発し、新旧交代シーンが見られた。

羽田空港のスポットへ向かうJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
ロサンゼルス線の投入ラストは、往路のロサンゼルス行きJL16便(777-300ER、登録記号JA733J)が、乗客224人(幼児ゼロ)と乗員16人(パイロット3人、客室乗務員13人)を乗せ、羽田の114番スポットから29日午後4時59分(定刻午後5時)に出発し、C滑走路(RWY16L)から午後5時48分に離陸。ロサンゼルスには同日午前11時42分に着陸し、同55分(定刻午前10時55分)に155番スポットへ到着した。
復路の羽田行きJL15便(同)は、乗客227人(幼児1人含む)と乗員18人(パイロット4人、客室乗務員14人)を乗せて、155番スポットから29日午後1時57分に出発して午後2時17分に離陸。羽田のA滑走路(RWY16R)へ30日午後5時17分に着陸し、108番スポットへ同23分に到着し、羽田-ロサンゼルス線への777-300ER投入を終えた。

羽田空港を出発するロサンゼルス線のA350-1000初便JL16便(右)とA滑走路へ着陸する777-300ERによるロサンゼルス発最終便となったJL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JALの777-300ERは、21年前の2004年7月1日就航。ジャンボの愛称で親しまれた747-400の後継機で、シンガポールなど中距離国際線に投入後、ニューヨークやロンドンなど長距離路線の運航を開始した。昨年2024年8月20日に4号機(JA734J)が初の退役機となり、今年5月27日の初号機(JA731J)退役で2機減となり、13機あった777-300ERは11機となった。
現在の主な投入路線は、シカゴ、サンフランシスコ、ヘルシンキ、バンコク(スワンナプーム)、上海(浦東)などの国際線と、一部国内線となっている。現行の客室仕様「W84」は座席数が4クラス244席で、ファースト8席、ビジネス49席、プレミアムエコノミー40席、エコノミー147席となる。

羽田空港のスポットへ向かうJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着したJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
後継となるA350-1000は、2024年1月24日に就航。1路線目は羽田-ニューヨーク線で、同年4月17日からダラス・フォートワース線、10月24日からはロンドン線、今年5月1日からパリ線に投入済みで、ロサンゼルス線で5路線となった。
座席数は4クラス239席で、ファーストが6席(1列1-1-1席)、ビジネスが54席(同1-2-1席)、プレミアムエコノミーが24席(同2-4-2席)、エコノミーが155席(同3-3-3席)。ファーストクラスは座席上のオーバーヘッドビン(手荷物収納棚)をすべてなくし、ビジネスは窓側のみとすることで開放感のある客室に仕上げた。
一方、新型コロナに端を発するサプライチェーンの混乱やトランプ関税の影響で、A350-1000など発注済みの機材が、計画通り引き渡されるかは不透明な状況になりつつある。JALの鳥取三津子社長は「777-300ER(の退役)を延伸させて長距離路線をしっかりつなぐ」と、777-300ERの退役を一部後ろ倒しする考えを示している。
路線計画を担うロス・レゲット常務は私見として、3年程度遅らせることができれば「今後のデリバリー次第ではあるが、(3年程度延期すれば)新しい機材が入ってくる時期と重なるので、供給が焦点になることはない」と、77-300ERの一部を手元に残すことで、新機材の納入遅延が生じた際に機材繰りを調整するなど、対処が可能になるとの考えを示している。
*写真は13枚(提供写真除く。運航実績は写真下に掲載)。

ロサンゼルスを出発するJALの777-300ERによる最終便JL15便(同社提供)

JALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便の出発前に記念撮影するJALの整備士と現地スタッフ(同社提供)

ロサンゼルスで出発を待つJALの777-300ERによる最終便JL15便(同社提供)

ロサンゼルスで777-300ERによる最終便JL15便の乗客にメッセージボードを掲げるJALの整備士(同社提供)

ロサンゼルスを出発するJALの777-300ERによる最終便JL15便(同社提供)

羽田空港に着陸するJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のスポットへ向かうJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のスポットへ向かうJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港のスポットへ向かうJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着したJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着したJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着したJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着したJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に到着したJALの777-300ERによるロサンゼルス発最終便JL15便=25年6月30日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
777-300ERロサンゼルス最終便(定刻/実績/スポット)
JL16 羽田(6/29 17:00/16:59/114)→ロサンゼルス(6/29 10:55/11:55/155)
JL15 ロサンゼルス(6/29 13:40/13:57/155)→羽田(6/30 17:25/17:23/108)
関連リンク
日本航空
777-300ER退役延長
・JAL、777-300ER全機退役は20年代後半も レゲット常務「今後のデリバリー次第」(25年6月8日)
・JAL、777-300ER退役延長 鳥取社長「長距離路線しっかりつなぐ」(25年5月6日)
777-300ER投入路線
・JAL、成田-シカゴ就航 777-300ERで北米・アジアの3国間流動取り込み(25年6月1日)
・JAL、羽田-ヘルシンキに777-300ER初投入 ファーストクラスも(25年3月30日)
JALの新機材
・JAL、エアバス機31機正式発注 A350-900追加と初導入A321neo(24年7月23日)
・JAL、787-9最大20機正式発注 ZIPAIRも検討、28年度から国際線(24年7月23日)
・JAL、エアバスとボーイングから42機導入 国際線にA350-900と787-9、国内線A321neo(24年3月21日)
777-300ERの退役機
・JAL、売却機の「退役整備」とは 777-300ER初号機からは「予備パーツ」(25年6月3日)
・JAL、777-300ER初号機が退役 破綻後の新仕様改修も1番手、元ボーイング試験機(25年5月27日)
・JAL初の777-300ER退役機、白塗りで4号機離日 A350-1000へ世代交代本格化(24年9月20日)
・JAL 777-300ER、きれいな姿で初退役 4号機がラストフライト(24年8月21日)
