MRJ, 機体 — 2017年4月20日 06:00 JST

MRJ、パリ航空ショー出展検討 水谷社長「試験最優先」

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 リージョナルジェット機「MRJ」を開発する三菱航空機の新社長に、4月1日付で三菱重工業(7011)防衛・宇宙ドメイン長の水谷久和常務が就任した(関連記事)。水谷新社長は、6月19日から開催されるパリ航空ショーへの実機出展について、検討していることを明らかにした。

—記事の概要—
パリ出展機材「試験最優先」
三菱重工、航空機は「防衛」が基本
MRJ勝算「スケジュール守れば優位性保てる」

パリ出展機材「試験最優先」

三菱航空機の水谷社長=17年4月13日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 水谷社長は、個人的には持っていきたいとしつつ、「まだ何も決まっていないが、持っていく方向で議論を進めている」と述べた。客室の公開やデモ飛行など、パリでの展示方法は「もう少し時間をいただきたい」と、明言を避けた。

 現在、MRJの飛行試験機は米国に4機、日本に1機ある。出展機材は米国から持ち込む計画で、どの機材になるかは「試験最優先」(水谷社長)とし、未定だという。「(米国での)飛行試験の進捗を見ながら。ぎりぎりのタイミングでの最終判断になる」と述べるに留め、早期に決断したいとした。

 本紙既報の通り、パリ郊外のル・ブルジェ空港で開かれるパリ航空ショーには、3号機(登録番号JA23MJ)を持ち込むと見られる(関連記事)。3号機の胴体には黒いラインがデザインされているが、ローンチカスタマーである全日本空輸(ANA/NH)の塗装に、米国で塗り直しを計画。客室の内装を変更して航空会社やリース会社など、関係者向けに公開する。

 三菱航空機は例年、客室を模したモックアップを会場に展示し、売り込みを図ってきた。

三菱重工、航空機は「防衛」が基本

パリ航空ショーにはANA塗装での出展を計画するMRJの飛行試験3号機(三菱航空機提供)

 MRJは2008年3月27日、ANAがローンチカスタマーとして25機(確定15機、オプション10機)を三菱重工に発注し、事業化が決定。開発に手間取り、当初2013年だった納期は5度目の延期により、2020年半ばを計画している。

 水谷社長は度重なる納期延期について、「三菱重工にとって、航空機は『防衛』の考え方が基本」とし、「開発作業の節目では、万全に万全を重ねた進め方がベースになっている」と説明。三菱重工も参画した日本航空機製造YS-11型機など、民間機の製造経験から時間が経過してしていることも延期につながった、とする見方を示した。

 三菱重工は2016年11月、MRJの事業推進に向けて社長直轄の「MRJ事業推進委員会」を設置。三菱重工の宮永俊一社長兼CEO(最高経営責任者)を委員長とし、外国人専門家の活用を拡大し、スケジュールの見直しを進めている。また、一部装備品の配置などを変更し、電気配線全体を最新の安全性適合基準を満たす設計に変更する。

 水谷社長は、2017年秋ごろをめどに設計を固めると述べた。「社としても『絶対に守ろう』という認識を持って、各セクションで進めている」と語り、「必ず成し遂げたい」と気を引き締めた。

MRJ勝算「スケジュール守れば優位性保てる」

ファンボロー航空ショーで展示されたエンブラエルE190-E2=16年7月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 MRJのライバルとなる、ブラジルのエンブラエルが製造する次世代リージョナルジェット機「E190-E2」は、2016年5月に初飛行。当初、同年下半期に実施予定だったが、前倒しした。

 E190-E2は、2016年7月に英ロンドン近郊で開かれたファンボロー航空ショーに出展。実機を展示し、機内はモックアップで紹介した。水谷社長はMRJ事業の勝算について、「見直したスケジュールをきちっと守れば、優位性を保てると思っている」と語った。

 MRJの開発メンバーには、多くの外国人を抱えている。日米の両拠点で300人から400人近くいる。外国人が多い現場について、水谷社長は「人事評価システムが日米で異なり、現在はうまく機能していない」と明らかにし、エンジニアなどの成果物への評価を、外国人上司が評価するシステム導入を検討する必要があると述べた。

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