日本航空(JAL/JL、9201)は7月17日、客室乗務員(CA)の飲酒対策を、現在のステイ先での飲酒を一律禁止する措置から、自律的な飲酒管理へ移行する方針を示した。5月に起きたCAの飲酒事案を受けた再発防止策の一環で、体調不良を安心して申告できる「FFD(Fit For Duty)デスク」を同日付で新設した。再発防止策の実効性を確認できた段階で、ステイ先での禁酒措置を解除する。

CAの飲酒対策を自律管理へ移行する方針を示したJAL= PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・FFDデスクで「乗客に迷惑かけない」
・一律禁酒から自律管理へ
・「出社前検査」をオンラインに
FFDデスクで「乗客に迷惑かけない」
FFDデスクは客室オペレーション部に新設。体調不良のまま乗務させないこと、便の遅延で利用客に迷惑をかけないことを最優先とする。また、健康診断のデータを基盤とし、運航乗務員に適用する「飲酒傾向管理スキーム」をCAにも導入する。
JAL安全推進本部の村田敬副本部長は、FFDデスクの導入により、体調不良のCAを乗務させず、交代要員を配員し、乗客に迷惑をかけないことを最優先とすると説明。体調不良の理由を基本的には聞かず、当該便の乗務から外すという。
一方でFFDデスクの導入により、飲酒した場合も隠ぺいにつながり、飲酒事案が公表されない恐れがある。村田副本部長は、理論上は単発の事案が「体調不良」として処理され、1回だけでは分からなくなる可能性があるとした上で、「『飲酒傾向管理』により急な体調不良が頻発する人を抽出し、産業医などと連携し対応にあたる」と説明。単発の飲酒事案が発生した場合には、従来通り公表するという。

JALが導入済みのパイロットの飲酒傾向管理スキーム(同社資料からAviation Wire作成)
一律禁酒から自律管理へ
JALはCA飲酒事案の再発防止策として、非習慣的飲酒者も含めたアルコールリスク教育の実施▽適正飲酒への自律的な取り組みの検討▽安全の重要性を浸透させる教育の実施、の自律的な3項目を含む計7項目を策定。ステイ先での飲酒は、これらの自律的な3項目を完了し、実効性を確認できた場合に解禁となる。解禁時期の具体的なスケジュールは確定していない。
今回の飲酒トラブルを受け、JALは国内線、国際線を問わず、CAの全ステイ先での飲酒を禁止。パイロットを対象としたステイ先での飲酒禁止も継続している。村田副本部長はステイ先での禁酒について、過去の事案による緊急避難的な措置だとした上で、長引くことで社員が自ら考えることを止めてしまう「負の側面」があり、自律的な管理へ移行することが根本的な解決につながると判断した、と説明した。
JALの運航規程では、12時間前に体内に残るアルコール量を純アルコール換算で40グラム相当の「4ドリンク」以下に制限することを定めている。ステイ先での飲酒解禁後も、「乗務12時間前以降の飲酒禁止」「飲酒量の制限」など、既存のルールは継続する。
「出社前検査」をオンラインに
CA飲酒事案の再発防止策の策定に伴い、アルコール検査体制も7月17日付で見直した。社内で規定する「出社前検査」は、アルコール検査器を使い自宅やステイ先で検査する。従来は検査器を会社のシステムには接続せずに「オフライン」で検査し、結果を会社には通知しなかったが、見直し後は出社前検査を「オンライン」とし、結果を会社へ通知するシステムを導入する。
一方、勤務開始前に空港オフィスやステイ先で検査する「事前検査」は、システムには接続しないオフラインで進める。従来の事前検査はオンライン通知しており、事前検査で使用していた仕組みを出社前検査に転用する。
村田副本部長はシステム転用について、短期間でシステムを導入するためと説明。一方でオフラインとなった事前検査は、運用が検討課題だとした。

飲酒事案を受けた再発防止策で変更したJALのCAアルコール検査体制。赤字が変更点(同社資料からAviation Wire作成)
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