日本航空(JAL/JL、9201)は7月17日、5月に起きた客室乗務員の飲酒事案を受け、再発防止策を国土交通省航空局(JCAB)に提出した。JALは同日から、自宅やホテルで実施する社内規定上の「出社前検査」について、結果を会社へオンラインで通知する仕組みに改めた。JALは6月12日に、同事案でアルコールが検知された客室の責任者「先任客室乗務員(チーフキャビンアテンダント)」を懲戒解雇している。

客室乗務員の飲酒事案に対する再発防止策を国交省に提出したJAL=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・出社前検査をオンライン通知
・促されても応じなかったチーフCA
出社前検査をオンライン通知
出社前検査は、客室乗務員が自宅やホテルでアルコールの影響下にないことを確認する検査。従来は会社へのオンライン通知がなく、本人が報告しなければ会社がアルコール検知を把握できない仕組みだった。JALの検査体制は、社内規定に基づく「出社前検査」と「事前検査」、航空法に基づく本検査である「乗務前検査」と「乗務後検査」で構成されており、今回は出社前検査の結果を会社へ通知する仕組みをオンライン化した。

JALが国交省に提出した客室乗務員の飲酒事案に対する再発防止策(同社提供)
再発防止策では、出社前検査結果のオンライン通知に加え、安全上の懸念を周囲に伝える「アサーション」の規定化や、先任客室乗務員に必要な社内資格を持つ「先任資格保持者」を対象とした教育も盛り込んだ。
アサーションが機能しなかった際の連絡先は5月27日に明示し、7月15日に規定化した。先任資格保持者向け教育は8月に完了する予定で、新たに先任資格を取得する客室乗務員向けのフォローアップ体制は10月に始める。

JALのアルコール検査体制(同社提供)
客室本部では、パイロットと同様の飲酒傾向管理の仕組みを9月に導入する予定。体調不良時の連絡窓口の一元化も7月17日に始めた。心理的プレッシャーを軽減する取り組みは9月15日に始める予定で、サポートチームの設置や、心理的安全性向上に関する全社横断的な取り組みも進める。
教育面では、日常的に飲酒しない客室乗務員も含め、アルコールリスクへの理解を浸透させる教育と、適正飲酒に向けた自律的な取り組みの検討を9月14日に完了する予定。保安要員としての原点に立ち返り、安全の重要性を浸透させる教育は今年度末までに完了する予定としている。
促されても応じなかったチーフCA
JALは今回の事案の問題点として、客室乗務員が飲酒に関する運航規程の「12時間ルール」を認識していたにもかかわらず、守らずに飲酒したことを挙げた。また、出社前検査でアルコールを検知したにもかかわらず、事前検査を未実施のままホテルを出発し、空港到着後も検査を引き延ばして、規程違反の飲酒の事実を隠ぺいしようとしたことも問題点とした。
この飲酒事案は、5月23日の広島発羽田行きJL252便(ボーイング767-300ER型機、登録記号JA613J)で発生。乗務予定だった客室乗務員2人が前日に規定に違反して飲酒し、うち先任客室乗務員(当時)が実施した社内規定上の「出社前検査」で、アルコールが検知された。
先任客室乗務員は、同乗予定だった客室乗務員から再三、検査を促されたが応じず、事前検査を実施しないまま空港へ向かった。乗務を取りやめたため、交代要員の確保に時間を要し、同便は42分遅延した。国交省は6月12日に、JALに対して行政指導の「厳重注意」を行い、7月17日までに再発防止策を報告するよう求めていた。規定違反の隠ぺいや安全管理システムの不備も指摘していた。
JALは6月12日、当該客室乗務員2人の処分と、鳥取三津子社長ら全役員の報酬減額も発表していた。一緒に飲酒していた客室乗務員は停職処分とした。
JALは、度重なるアルコールに関する不適切事案を受けて再発防止策を進めていたにもかかわらず、今回の事案を発生させたことを極めて重く受け止めていると説明。飲酒に関わる不適切事案を二度と起こさないとの決意のもと、グループ一丸となって社会と利用者の信頼回復に取り組むとしている。
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