フランクフルト空港で現地時間6月4日、整備中だったルフトハンザ ドイツ航空(DLH/LH)のボーイング787-9型機(登録記号D-ABPQ)の前脚が予期せず引き込まれ、機首と両エンジンのカウルが地面に接触した。ドイツ連邦航空機事故調査局(BFU)が7月9日に公表した中間報告書によると、地上で前脚の格納を防ぐ「ダウンロックピン」が装着されておらず、機内の保管箱から見つかった。重傷2人、軽傷21人が出た。

フランクフルト空港で整備中に機首が接地したルフトハンザの787-9(The Aviators GroupのXから)
事故はターミナル1のA15駐機場で、6月4日午後0時45分ごろ発生。ロサンゼルス行きの出発準備中で、機材繰りからLH450便に投入される予定だったとみられる。乗客の搭乗開始予定は約20分後で、機内に乗客はいなかった。
コックピットでは整備士2人が、未解決だった主脚ドア制御系統の不具合を調べていた。試験手順には脚レバーを「UP」位置へ動かす作業が含まれ、1人が手順を読み上げ、もう1人が操作を担当。レバーを動かした直後、前脚が引き込まれた。
BFUによると、整備士が使用していたFIM(Fault Isolation Manual:不具合特定マニュアル)には、脚レバーを操作する前に、未装着の場合はダウンロックピンを取り付けるよう定められていた。前脚用のピンは、赤い警告旗が付いた状態で前方貨物室から通じるアビオニクス区画内の保管箱から見つかった。一方、左右主脚用の4本は正しく装着されていた。中間報告書は事故原因を特定しておらず、ダウンロックピンの未装着と前脚の引き込みとの因果関係についても結論は示していない。

前脚ダウンロックピンの取り付けに関する航空機整備マニュアルの抜粋(BFUの中間報告書から)
事故に直接関係したのは計34人で、このうち28人が機内、6人が機外にいた。機内には運航乗務員3人、客室乗務員10人、整備士2人、地上業務担当者13人がいた。運航乗務員2人を含む計6人が病院へ搬送された。
機体は機首下面や前脚格納部、前方貨物ドア周辺などを大きく損傷した。前方貨物ドアに横付けされていた貨物搭載用ハイローダーも、落下した機首と貨物ドアに押し下げられた。火災は発生しなかった。
機体回収時には約6万キロの燃料を抜き、空気式クッションで機首を約2メートル持ち上げた。この際、前脚は自力で伸びてロックした。BFUは保管箱から見つかったピンで前脚を固定し、機体を格納庫へ移して調査を続けている。
事故機は2025年製で、ロールス・ロイス製Trent 1000-K3エンジンを2基搭載する3クラス253席仕様。飛行時間は1093時間19分、着陸回数は147回だった。

フランクフルト空港のA15駐機位置(赤丸、BFUの中間報告書から)

前方貨物ドア付近の胴体損傷(赤丸、BFUの中間報告書から)

前方貨物室内にあるアビオニクス区画への仕切りを開いた状態(赤丸、BFUの中間報告書から)

機体回収作業(左)と伸展した前脚(BFUの中間報告書から)

787-9の前脚で脚ダウンロックピンが未装着だった状況(BFUの中間報告書から)
関連リンク
German Federal Bureau of Aircraft Accident Investigation
ルフトハンザ ドイツ航空
・エアバスとルフトハンザ、提携50周年 700機目納入へ(26年6月11日)
・ルフトハンザ、A350と787を各10機発注 32年から長距離機更新(26年5月12日)
・ルフトハンザ向け777X初号機が初飛行 客室仕様で認証試験へ(26年5月9日)
・ルフトハンザ、747-8を米空軍へ売却 エアフォース・ワン訓練機に(26年5月6日)
