国土交通省航空局(JCAB)は7月6日、成田空港の新旅客ターミナルや鉄道アクセスなどの整備方針を示す「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会」の第4回会合を開き、「最終取りまとめ」案が了承された。新ターミナルは2030年代に第1段階「ステップ1」の供用開始を目指し、鉄道の輸送力は、現在と比べて最終的に約1.8倍を目指す。

成田空港内の駅改良等のイメージ(検討会の資料から)
鉄道アクセスの改善では、京成電鉄(9009)が特急「スカイライナー」などが使用する成田スカイアクセス線を高架・複線化。現在の空港第2ビル駅と東成田駅の間に高架新駅を整備する。JR東日本(東日本旅客鉄道、9020)は、既存の京成線施設を活用して成田空港駅と空港第2ビル駅のホームを増強し、両駅間を複線化する。
—記事の概要—
・京成は高架新駅、JRは既存京成施設活用
・新有料特急、30年代に羽田直通も
・スカイライナー長編成化などで応急対策
・新ターミナルは30年代
京成は高架新駅、JRは既存京成施設活用
成田空港では、C滑走路新設やB滑走路延伸などの「更なる機能強化」により、年間発着容量を現在の34万回から50万回へ増やす計画が進んでおり、50万回時には旅客数が年間7500万人に増える見通し。現在の旅客ターミナルの取扱容量は3つのターミナル合計で年間5700万人にとどまることから、受け入れ能力を拡大する方針を最終取りまとめで示した。

成田空港内の鉄道施設整備イメージ(検討会の資料から)
鉄道によるアクセスでは、現在ボトルネックとなっている空港駅周辺の単線区間や駅施設を改良する。京成は成田スカイアクセス線を高架化・複線化し、空港第2ビル駅と東成田駅の間に高架新駅を整備する。高架新駅は3面5線で、南側には新ターミナルに接続する改札口を、東側には第2ターミナルに接続する改札口をそれぞれ設ける。東成田駅は高架新駅との一体的運用を検討し、成田スカイアクセス線と京成本線は連絡線で接続する。
空港外では、成田スカイアクセス線の高架新駅から東関東自動車道(東関道)との交差部付近までに新線を整備し、高架・複線化する。東関道交差部付近から成田湯川駅までの既存単線区間も複線化するほか、北総線との共用区間である印旛日本医大-新鎌ヶ谷間には、有料特急列車専用の新線を整備し、複々線化する。
JRは成田空港駅と空港第2ビル駅で、既存の京成線施設を活用。既存京成線をJR線として使えるよう、線路幅を現在の「標準軌(1435mm)」から「狭軌(1067mm)」に改めた上で複線化。成田空港駅は現在の1面2線から2面3線、空港第2ビル駅は1面1線から2面2線へ増強する。現在の成田空港駅には、新ターミナルに接続する改札口を新たに整備する。
空港外のJR線は、空港第2ビル駅から東関道交差部付近まで、既存の成田スカイアクセス線跡地を活用して複線化する。東関道交差部付近から成田駅付近までの単線区間も複線化する方向を示した。

成田空港敷地外の改良等のイメージ(検討会の資料から)

成田空港の鉄道輸送力増強イメージ(検討会の資料から)
新有料特急、30年代に羽田直通も
都心方面へのアクセスでは、京成の新型有料特急が段階的に乗り入れる。第1フェーズとして2028年度に成田空港から押上駅まで、第2フェーズでは技術的課題の解決を前提に、2030年代に京急線品川駅や羽田空港方面への直通運転を目指す。

京成電鉄の新型有料特急の都心・京急線羽田方面への乗入れ(検討会の資料から)
品川方面は、品川駅改良工事の完了後、成田空港駅から都営浅草線を経由し、京急線品川駅まで直通運転する。羽田空港方面は、羽田空港第1・第2ターミナル駅の引上線供用開始後、京急線経由で直通運転を目指す。JR東日本が整備を進める羽田空港アクセス線(仮称)を活用したルートへの乗り入れ可能性についても、検討が望まれるとした。
一方、羽田空港方面への直通運転には、車両規格やホームドア、列車運行管理、案内表示、乗務員の確保・育成、特急券の発売・確認方法、車両清掃などの課題が残る。国交省によると、成田-羽田間の所要時間は、現時点で具体的な目標時間までは示せないという。
スカイライナー長編成化などで応急対策
新ターミナルや高架新駅などの抜本整備に先立ち、足元の混雑対策も進める。空港を運営する成田国際空港会社(NAA)は2028年上期を目途に、空港第2ビル駅の旧セキュリティエリアを活用した待合スペース設置など、駅改札内外の改良を進める。

成田空港の将来イメージ(検討会の資料から)
現在も空港第2ビル駅では、スカイライナーとアクセス特急の発車時刻が重なる時間帯などにホーム上の混雑が発生しており、新駅や複線化といった抜本的な鉄道施設整備に先立つ暫定的な対策となる。
京成はスカイライナーの長編成化を検討する。現在は8両編成で、何両編成まで増やせるかは、ホームの長さや車両面の課題を含めて今後詰め、新駅開業までの混雑緩和策として検討する。
また、複線化や長編成化で輸送力が増えれば、空港で働く従業員の通勤時間帯の混雑緩和にもつながる。国交省によると、空港勤務者の利用について具体的な年度や効果までは示していないものの、輸送力増強が地域の鉄道利用者の混雑緩和などにつながるとの見方を示した。
高架新駅などの整備完了時には、需要予測を踏まえ、鉄道輸送力を現行比約1.8倍に高めることを目指す。
今後は鉄道施設の事業費や事業主体、整備スキームなどを精査する。国交省、NAA、鉄道会社、関係自治体などで体制を構築し、2026年度中に事業化に向けた検討へ着手することを目指す。
新ターミナルは30年代
新ターミナルは、2026年度からマスタープラン策定に向けた検討を始める。旅客ターミナルは集約ワンターミナル方式で整備し、2030年代に第1段階となる「ステップ1」の供用開始を目指す。ステップ1では、新ターミナルと第2ターミナルにCIQ(税関・出入国管理・検疫)などの「本館機能」を集約し、第1・第3ターミナルはこれを廃止した上で、搭乗ゲートとして活用する。

旅客取扱施設の検討・整備スケジュールイメージ(検討会の資料から)
ステップ1の取扱容量は、新ターミナルが年間4000万人、第2ターミナルが3500万人の計7500万人とする。その後は需要動向に応じて段階的に拡張し、最終的にワンターミナル化する「ステップ2」へ移行する。ステップ2では、新ターミナル単体で年間7500万人以上の取扱容量を確保する。
新ターミナルは、乗継利便性を重視したロングピア型を基本とする。館内移動を円滑化する新交通システムを導入し、世界最高水準の乗継利便性を目指す。交通結節点や商業施設、オフィスなどの都市機能も持たせ、成田空港周辺で検討されている「SORATO NRTエアポートシティ」との連携拠点としての役割も担わせる。

国交省で開かれた「今後の成田空港施設の機能強化に関する検討会」第4回会合で挨拶する山内弘隆委員長=26年7月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港の新ターミナルエリア断面イメージ(検討会の資料から)

旅客取扱施設の検討・整備イメージ(検討会の資料から)

成田空港の新ターミナルイメージ(検討会の資料から)
関連リンク
国土交通省
成田国際空港
JR東日本
京成電鉄
成田空港高速鉄道
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