エアライン, 解説・コラム — 2026年5月19日 11:55 JST

プレミアムクラスが「ファーストクラス」表記に 特集・ANA新制度 顧客との温度差(1)

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 全日本空輸(ANA/NH)の国内線予約システムが、きょう5月19日搭乗分から刷新され、予約画面上では従来の「プレミアムクラス」が「ファーストクラス」と表示されるようになった。ANAはサービス内容の変更は予定していないとしているが、予約画面では「ファーストクラス」と「エコノミークラス」と表示されるようになった。

国内線予約画面で「ファーストクラス」表記になったANAの「プレミアムクラス」(同社サイトから)

 名称とともに運賃体系も変わった。「ファーストクラス」と表示される上級クラスでも、最も安い運賃では出発24時間前まで座席指定ができない。今回の刷新は上級クラスの表記変更にとどまらず、従来の「普通席」に相当する「エコノミークラス」利用者にも影響する。ANA国内線の新予約システム移行で何が変わるのか、3回に分けて整理する。

—記事の概要—
ファーストとプレミアムクラス併存
予約システムと名称変更

ファーストとプレミアムクラス併存

 5月19日午前9時時点のANAウェブサイトでは、国内線の座席クラスについて、従来のプレミアムクラスと普通席のサービス内容に変更はないと案内している。一方、実際の予約画面では、上部のタブや運賃欄に「ファーストクラス」と表示され、便ごとの表示には従来の「Premium class(プレミアムクラス)」のロゴも残っている。商品名としてのプレミアムクラスと、予約システム上のファーストクラス表記が併存している状態だ。

ANA国内線新運賃の特徴(同社サイトから)

 今回の運賃体系見直しでは、「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3段階に分けた。5月20日搭乗分の羽田発福岡行きを検索すると、ファーストクラスにも各運賃が表示される。このうち最も安い「シンプル」は、事前座席指定が「不可」と表示され、出発時刻24時間前から可能になる。一方で「スタンダード」と「フレックス」は、事前座席指定が無料となっている。

 つまり、予約画面で「ファーストクラス」と表示されても、運賃によって付帯サービスは異なる。上級クラスを選べば従来通り事前座席指定ができる、とは限らない。

予約システムと名称変更

 では、なぜサービス内容は変わらないのに、予約画面上の表記は「ファーストクラス」に変わったのだろうか。この表記変更は、ANAが国内線に導入した新予約システム「アマデウス アルテア(Amadeus Altea)」の仕様に基づくものだ。プレミアムクラスを「ファーストクラス」という新サービスに衣替えするわけではない、とANAは現時点で説明している。

ANAの787-10国内線仕様機のプレミアムクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの787-10国内線仕様機のプレミアムクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAは2023年2月に、国内線の旅客サービスシステム(PSS)をスペインのアマデウス社製に切り替えると発表。PSSは、航空券の予約や購入、搭乗手続きに使う基幹システムで、ANAは国際線では2015年からアマデウスを導入済み。国内線と国際線の予約を一元管理し、予約確認や各種サービスの申し込み、空港での乗り継ぎなどの顧客情報を連携できるようにした。

 これまでの国内線用PSSは、1988年に導入した自社開発の「エイブル」。国内線もアマデウスに統合することで、固定費化しているシステム費用を旅客数に連動した変動費にし、システム維持管理費用を低減するほか、海外の航空会社などとのシステム連携をしやすくする。

 アマデウスのPSSは世界200社以上が導入しており、実質的な業界標準システムといえる。多くの欧州系航空会社をはじめ、国内では日本航空(JAL/JL、9201)も2017年11月に国内線・国際線のPSSを切り替えた。しかし、従来よりも運賃検索に時間がかかるなど、日本の利用者からは元々あまり評判がよろしくないシステムだ。

 今回の国内線予約システム刷新で、影響があるのはプレミアムクラスだけではない。従来の普通席も予約画面では「エコノミークラス」と表示されるようになり、運賃も同様に「シンプル」「スタンダード」「フレックス」の3種類に変わった。

 次回は、最安運賃「シンプル」の座席指定ルールを、家族連れや同行者のいる利用者への影響とともに整理する。

(つづく)

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