全日本空輸(ANA/NH)の国内線上級クラス「プレミアムクラス」が“ファーストクラス”に? 2月下旬、X(旧Twitter)にはANAがプレミアムクラスのサービスを見直すのではないか、との投稿が目についた。

ANAの787-10国内線仕様機のプレミアムクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
実はこの「ファーストクラス」表記は、ANAが国内線に導入する新予約システム「アマデウス アルテア(Amadeus Altea)」の仕様に基づく変更だ。プレミアムクラスがファーストクラスに衣替えするわけではない。サービス内容はそのままで、マイルによるアップグレードなど一部の見直しを予定しており、ANAは詳しい内容を5月下旬にも発表するという。
では、ANAが導入する新しい予約システムとは、どういうものなのだろうか。
—記事の概要—
・自社開発から業界標準に
・普通席も「エコノミークラス」
自社開発から業界標準に
ANAが新システムに入れ替えるのは「旅客サービスシステム(PSS)」と呼ばれるもので、航空券の予約や購入、搭乗手続きに使われている。ANAは国内線のPSSをスペインのアマデウス社製のものに切り替えると2023年2月に発表。国際線は2015年から導入済みで、アマデウスへの統合により国内・国際線の予約を一元管理し、予約確認や各種サービスの申し込み、空港での乗り継ぎなどの顧客情報が連携できるようになる。

ANAの最新国内線フラッグシップ787-10=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの787-10国内線仕様機のプレミアムクラス=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
現在の国内線用PSSは自社開発した「エイブル」で、1988年から導入。国際線にも導入しているアマデウスに統合することで、固定費化しているシステム費用を旅客数に連動した変動費にし、システム維持管理費用を低減するほか、海外の航空会社などとのシステム連携をしやすくする。
アマデウスのPSSは、世界200社以上が導入しており、実質的な業界標準システムといえる。多くの欧州系航空会社をはじめ、国内では日本航空(JAL/JL、9201)も2017年11月に国内線・国際線のPSSを切り替えた。
普通席も「エコノミークラス」
今回のPSS刷新により、国内線の予約検索画面での表記は、2026年5月19日搭乗分からプレミアムクラスは「ファーストクラス(プレミアムクラス)」、普通席は「エコノミークラス」に変更。いずれも表記の変更のみで、サービス内容の変更は予定していない。
ANAは、国内線普通席からプレミアムクラスへマイルによるアップグレードを可能にするなど、新しい国内線サービスの詳細を5月下旬にも発表する予定だ。
関連リンク
全日本空輸
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