エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2026年5月10日 22:55 JST

AirJapan仕様の787、パイロット訓練で活用 当面は非営業機

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 ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のエアージャパン(AJX/NQ)が、今年3月まで運航していた自社ブランド便「AirJapan」。使用機材は全日本空輸(ANA/NH)が運航していたボーイング787-8型機のうち、初期導入機を改修して投入使用した。AirJapan便の運航終了後、ANAはエンジン整備などの予備機材として活用しているほか、パイロットの実機訓練などにも使い、ANA仕様の787の稼働向上につなげている。

成田空港を出発するAirJapan便の成田発最終便となったバンコク行きNQ1便の787-8 JA801A(手前)と運航を終えたJA802A=26年3月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
3号機は4カ月で運航終了
初期製造機故の問題

3号機は4カ月で運航終了

 ANAの787は3月末時点で3機種合わせて90機あり、標準型の787-8が36機(AjrJapan仕様3機含む)、長胴型の787-9が44機、超長胴型の787-10が10機。このうち、37機の客室改修を実施する契約をボーイングと結び、787-8が21機、787-9は16機が対象になる(関連記事)。787-9は新造機3機とともに、新個室ビジネスクラス「THE Room FX(ザ・ルームFX)」などの新シートを導入する国際線新仕様へ改修する。

 AirJapan仕様の787-8は3機(登録記号JA801A、JA802A、JA803A)で、座席数が1クラス324席。最後に改修された3号機(JA802A)は、2025年11月23日から2026年3月28日までの4カ月と5日、日数にしてわずか126日間で運航を終えた。ANAの787は国内線仕様が2クラス335席、長距離国際線仕様が3クラス184席、短中距離国際線仕様は2クラス240席と、外観だけでなく客室仕様も異なるため、このままANA便へ投入することは難しい。

AirJapan便の787-8の客室=24年2月6日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

羽田空港に駐機されたANAの787-9と元AirJapanの787-8=26年5月4日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 これまでは、ロールス・ロイス製エンジン「トレント1000(Trent 1000)」の不具合対策でエンジンを降ろし、運航から離脱している787があった。ANAHDの芝田浩二社長によると、2025年度末時点で、エンジン整備が理由で運航から離脱している787は1機まで減少しており、今年度内にはANAの787はすべて稼働できる見通しで、現在の事業計画もこれを前提にしたものだという。

 今後は定期整備のタイミングを活用し、新仕様機への改修がスタートする。商業運航便や整備控除以外に機材確保が必要になるのが、中部空港(セントレア)で実施しているパイロットの実機訓練に使う787だ。元AirJapan機を訓練機として活用することで、商業運航便に投入できる787の機材繰りに余裕を持たせる。4月は1機(JA801A)が2週間ほど実機訓練に使われた。

パリ航空ショーでANAの新個室ビジネスクラス「THE Room FX」をお披露目する客室乗務員=25年6月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAのコードシェア便を運航する航空会社を見ると、ANAHDが出資するエア・ドゥ(ADO/HD)の中型機は、ANAが運航していた767-300ER(1クラス288席)が4機で、全機の機齢が20年以上、もっとも古い機材は24年近い。現行の客室仕様は7年前の2019年3月に導入されたもので、機齢も考慮すると更新時期が近いと言える(関連記事)。しかし、ANAの787の稼働やエア・ドゥ側のパイロットの機種移行訓練のリソース確保など複数の要因を考慮すると、大きな変化は当面ないようだ。

初期製造機故の問題

 また、787の初期製造分の機体は、重量超過など新設計機ゆえの問題がある。ボーイングは民間機の製造を管理する上で「Line Number(LN、ラインナンバー)」と呼ぶ番号を使用しており、787はLN1から6までが飛行試験機、LN7以降が量産機となっている。AirJapan仕様の初号機JA803Aは、LN順では787初の量産機で、2号機のJA801AがLN8、3号機のJA802AがLN24となる。ANAHDは当初、初期導入の787のうち、6機をAirJapan仕様に改修予定だった。

羽田空港に着陸し格納庫へ向かうANAの787初号機JA801A=11年9月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 787はデリバリー開始当初、機体の設計重量超過に悩まされていた。複合材を多用した胴体の強度が設計通りに出ず、補強材で重量がかさみ、航続距離もカタログ通りではなかった。「Terrible Teens(魔のティーンズ)」と呼ばれ、長らく引き取り手がなかった機体もみられた。

 LN7から22までは設計重量超過が何らかの形で生じており、LN23から33は重量が超過しているものの、発注した航空会社が許容できるレベル、LN34から89までは重量軽減が進み、LN90以降はカタログスペックを達成したと言われている。

 AirJapan便は2024年2月9日に就航し、今年の夏ダイヤ初日の3月29日で運航を終了。3機の787-8で、成田-バンコク(スワンナプーム)、ソウル(仁川)、シンガポールの3路線を運航していた。エアージャパン社は、ANAの国際線のうち、アジア・リゾート路線をAirJapan便の運航開始前から担っており、自社ブランド便が終了したことでANA便専業に戻った。

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