エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2025年6月17日 19:37 JST

ANA、787-9に新個室ビジネスクラス「THE Room FX」777並みの広さ、26年度から＝パリ航空ショー

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　ANAホールディングス（ANAHD、9202）傘下の全日本空輸（ANA/NH）は現地時間6月17日、ボーイング787-9型機の新しい個室ビジネスクラスシート「THE Room FX（ザ・ルームFX）」をパリ航空ショーで発表した。2026年度から新造機に導入し、既存の長距離国際線仕様機も2027年度から改修を計画している。中型機向けのビジネスクラスの刷新は約10年ぶりで、777-300ERに導入している「THE Room」と同等の快適性を実現した。

パリ航空ショーでANAの新個室ビジネスクラス「THE Room FX」をお披露目する客室乗務員＝25年6月17日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

　シート製造は仏サフラン・シートで、英国のデザイン会社アキュメン・デザイン・アソシエートがデザインを監修した。中型機787のビジネスクラスながら、大型機777-300ERと変わらない快適性を実現し、中型機の同クラスシートでは世界トップクラスの広さだという。

　個人用モニターは24インチのHDモニターを採用。ワイヤレス充電や電源コンセント、充電用USB端子はType-Aに加えて最新のType-Cにも対応した。Bluetoothによるオーディオ接続も可能で、小物入れは2カ所用意した。

　新シートの名称「FX」は「Future Experience」の略で、シート、ソファ、ベッドの3スタイルを選べる構造を採用。背もたれはあらかじめリクライニングされた形状で、ソファのような自由な姿勢で過ごすことができる。レッグレストを水平にすると、ベッドとして過ごせる。

　個室のドアや座席間のパーティションは、777向けと比べて薄型化しつつ、背もたれに曲線を持たせたデザインと、777向けと同じ前後交互の配列で、大型機並みの空間を実現した。リクライニング機能をなくしたことで、可動部分が必要とするスペースが減少し、乗客が実際に過ごす1席あたりの空間を広く取ることができた。

　新仕様機の座席数は3クラス206席（ビジネス48席、プレミアムエコノミー21席、エコノミー137席）で、既存機と比べてエコノミークラス1列9席分の減少にとどめた。ギャレー（厨房設備）やラバトリー（化粧室）の配置も既存機のものを踏襲したことで、客室乗務員の作業性や、機材変更が生じた際の座席変更を最小限にするようにした。

　新シートを搭載する787-9の新造機は3機、改修機は16機で、計19機に導入を予定している。

＊THE Room FXの詳報を後日掲載します。
＊写真は9枚。