政府は、中東情勢の悪化により日本人などの帰国を支援する政府チャーターについて、オマーンの首都マスカットを現地時間3月12日に出発するチャーター便を全日本空輸(ANA/NH)に発注した。羽田空港へ13日午前に到着する見込み。日本の航空会社が、今回の中東発政府チャーターを応需したのは初めて。給油のためムンバイ経由で運航する。マスカットは未就航地で、情勢不安定であることから、乗員交代や現地での地上作業を最小化する狙いもあるようだ。

中東からの政府チャーターを運航するANA=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
チャーター便は、マスカットを12日午後4時(日本時間同日午後9時)に出発予定。インドのムンバイを経由し、羽田空港へ13日午前9時55分に到着する見通し。ANAによると、使用機材は「チャーターを受託する側なので回答する立場にない」という。
ANAはオマーンをはじめ、中東には就航していない。このため、マスカット空港に日常的な地上支援体制がないため、定期便を運航しているムンバイで給油する。成田-ムンバイ線は現在、ボーイング787-9型機で運航している。
マスカットから東京までは、直行便で約10時間かかる。パイロットが乗務できる時間に上限があるため、日本出発時のパイロットは、現地到着後すぐに折り返し便の運航に従事できない。今回のように、現地で交代要員を乗せられない場合、2人1組のパイロットが日本から2組4人乗り込み、途中の空港で給油ととともに交代するケースがある。
また、今回は情勢不安定な地域への運航となるため、マスカットでの地上支援業務を最小化するため、定期便が乗り入れているムンバイで、極力対処する方法を採ったとみられる。
政府による日本人の帰国支援チャーターは、これまでエチオピア航空(ETH/ET)が3回、エミレーツ航空(UAE/EK)が1回の合わせて4回運航。初便は現地時間8日にマスカットから成田へ出発したエチオピア航空の成田行きET8403便(ボーイング787-9型機、登録記号ET-AYD)だった。その後、9日にサウジアラビアのリヤドからも、エチオピア航空が成田行きET8405便(787-9、ET-AYD)を運航した。
10日は、リヤドからエチオピア航空の成田行きET8407便(787-9、ET-AYD)と、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイからエミレーツ航空の羽田行きEK2612便(777-300ER、A6-EPY)が出発。ET8407便は成田へ11日午後1時39分すぎ、EK2612便は羽田へ11日午後0時45分すぎに到着する見通し。
一方、日本と中東を結ぶ定期便は通常運航に戻ってない。エミレーツ航空は、5日発の羽田行きEK312便(777-300ER、A6-EQH)から再開したが、日本航空(JAL/JL、9201)の羽田-ドーハ線は、ドーハがイラン対岸に位置し、情勢が不安定であることから、羽田発ドーハ行きJL50便は21日まで、折り返しのドーハ発羽田行きJL50便は現地時間22日まで、欠航が決まっている。
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全日本空輸
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