ニュージーランド国防軍は、空軍(RNZAF)の戦略輸送機として使用しているボーイング757型機の後継機として、エアバスA321XLRを2機導入する。米航空機リース大手エア・リース・コーポレーション(ALC)から6年のリース期間後に買い取る「リース・トゥ・バイ」契約で調達し、2028年から運用を始める見通し。

ニュージーランド空軍のA321XLR(イメージ、同軍提供)
A321XLRは、受領後すぐに運用を開始できる構成で引き渡される。オークランドの空軍基地に配備し、第40飛行隊が運用する。契約は国防軍トップのトニー・デイビス空軍大将が署名した。
A321XLRは航続距離が長く、燃費性能にも優れる。約120人が搭乗でき、最大で9100キロの貨物を搭載可能。757と同様、軍人や装備の長距離輸送のほか、ニュージーランドと太平洋地域での災害救援、外交など多様な任務に対応する。民間向けの仕様では、最大11時間飛行できる。
機体の塗装は現行デザインに合わせて決定され、グレーを基調にキウイのラウンデル(国籍標識)を大きく描く。軍用機であることを明確にしつつ、世界のどこでもニュージーランド機と認識できるようにするという。
今回の調達プロジェクトの資本コストは6億2000万NZD(ニュージーランドドル)で、4年間の運用費は8086万NZDとなる。

ニュージーランド空軍のA321XLR(イメージ、同軍提供)

ニュージーランド空軍のA321XLR(イメージ、同軍提供)
A321XLRは世界最長の航続距離を誇る単通路機で、A321neoの航続距離を延ばした超長距離型。XLR(Xtra Long Range)は「超長距離」を意味し、最大11時間の飛行を燃料タンクの増設で実現し、航続距離にすると4700海里(約8704キロ)に達する。2019年6月にローンチし、エンジンはPW1100G-JMのほか、CFMインターナショナル製「LEAP-1A」を選択できる。
日本国内の航空会社では、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下のピーチ・アビエーション(APJ/MM)が、2030年度から受領する計画となっている。
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New Zealand Defence Force
Airbus
A321XLR
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A321XLR解説
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ALC
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