機体 — 2025年6月15日 20:17 JST

エンブラエル系Eve、eVTOL最大50機の基本契約獲得 27年にサンパウロ就航

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 エンブラエル系の独立企業で、eVTOL(電動垂直離着陸機)を手掛けるEve Air Mobility(イブ・アーバン・エア・モビリティ)は現地時間6月15日、ブラジル・サンパウロに本拠を置く都市型エアモビリティ(UAM)事業者のRevo、同社の親会社であるOHI(Omni Helicopters International)の2社と、最大50機のeVTOL発注とアフターサービスに関して拘束力のある基本契約を結んだと、パリ航空ショーの会場となるル・ブルジェで発表した。運航開始は2027年10-12月期を予定しており、Revoは世界屈指の交通渋滞都市であるサンパウロでのEveのローンチオペレーターとなる。

RevoとOHIから最大50機のeVTOL発注に向けて基本合意したEveやエンブラエルの関係者=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今回の契約締結で、Eveは設計開発段階から商用化段階へ移行。TechCareと呼ぶアフターサービスを含むパッケージも提供する予定で、契約には機体納入と就航支援も含まれる。

 EveのeVTOL機は、乗客4人乗り仕様の客室を貨物用に素早く転換できる柔軟な設計が特徴で、脚部は滑走用車輪付き脚とスキッドから選択できる。エンブラエルの型式証明取得経験を活かし、現在は地上試験を実施しており、今後数カ月以内に飛行試験を開始する計画。2025年から2026年にかけては、5-6機の試作機で数千回の試験飛行を実施する予定で、型式証明取得に向けた検証作業を本格化させる。

パリ航空ショーの会場でお披露目されたEveのeVTOLの最新モックアップ=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 Revoは現在、都市内の主要地点とサンパウロのグアルーリョス国際空港を結ぶ定期ヘリサービスを展開しており、ドア・ツー・ドアの地上移動・手荷物搬送を組み合わせたモビリティサービスを提供している。通常は車で1時間半から3時間かかる区間を、Revoは約10分で結んでおり、EveのeVTOL導入で電動化と環境負荷低減を図る。

 Revoのジョアン・ウェルシュCEO(最高経営責任者)は「Eveとの提携は、洗練された設計とサポート体制、そしてエンブラエルの航空宇宙分野における実績に基づくものであり、我々の次世代型モビリティサービスの中核となる」と述べた。

 OHIグループCEOのジェレミー・エイケル氏は「eVTOL導入により、低高度経済圏における多様化とリーダーシップがさらに強化される」とコメント。Eveのメーガ・バティアCCO(最高商務責任者)は、「EveのeVTOLは都市の既存交通網に自然に組み込まれる設計で、都市内の『ラストマイル』輸送にも貢献する」と語った。

 EveとRevo、OHIの3社は、これまでに機体購入やサービス提供の基本合意を締結しており、EveのUAM向け運航支援ソフト「Vector」を用いた都市型航空交通管制のシミュレーションも実施している。

 eVTOLは「空飛ぶクルマ」や「UAM(Urban Air Mobility:都市型エアモビリティ)」などとも呼ばれている。

パリ航空ショーの会場でお披露目されたEveのeVTOLの最新モックアップ=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーの会場でお披露目されたEveのeVTOLの最新モックアップ=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーの会場でお披露目されたEveのeVTOLの最新モックアップ=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーの会場でお披露目されたEveのeVTOLの最新モックアップ=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

パリ航空ショーの会場でお披露目されたEveのeVTOLの最新モックアップ=25年6月15日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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