独DHLの日本法人DHLジャパンは5月23日、国産の代替航空燃料「SAF(Sustainable Aviation Fuel:持続可能な航空燃料)」を中部空港(セントレア)から出発する貨物便で使用を開始した。貨物便への国産SAFの使用はDHLが初となり、DHLがアジアでSAFを調達したのも初めてとなった。

中部空港で国産SAFの貨物便への初使用を祝う式典で記念撮影するDHLジャパンのトニー・カーン社長ら=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
DHLが使用を始めた国産SAFは、日揮ホールディングス(1963)とコスモ石油、レボインターナショナル(京都市)の3社が設立したSAFFAIRE SKY ENERGY(サファイアスカイエナジー、横浜市)が、大阪府堺市のコスモ石油堺製油所構内で製造。日本のSAF製造事業者として初めて「ISCC CORSIA」認証を取得したもので、家庭や店舗などから排出された廃食用油を原料としている。旅客便向けは、5月1日に日本航空(JAL/JL、9201)の関西発上海行きJL891便に初めて使用された。

中部空港で開かれた式典で挨拶するDHLジャパンのトニー・カーン社長=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
DHLはコスモ石油マーケティングと年間720万リットルの調達契約を結び、中部発便で順次使用する。DHLジャパンのトニー・カーン社長は「中部-シンシナティ間で年間185便に相当する量だ」と説明。従来の化石燃料にSAFを35%混ぜた状態での換算で、米中西部オハイオ州シンシナティはDHLのハブのひとつ。
初供給にあわせて中部空港では記念式典が開かれ、愛知県の大村秀章知事らが来賓として招かれた。式典でDHLジャパンのトニー・カーン社長は「日本初となる定期貨物便での国産SAF使用は、持続可能な輸送への大きな一歩。地域と連携し、温室効果ガス排出削減に向けた実効的な取り組みを進めていく」と述べた。
中部空港を運営する中部国際空港会社(CJIAC)の犬塚力社長は、「空港だけでなく航空機の脱炭素もやらなければならない。空港周辺自治体で回収された廃食油から、堺市でSAFが製造され、中部で使用される循環が完成した」と述べた。空港周辺自治体のうち、常滑市では給食センターから出る廃食油がSAFの原料になっている。
DHLグループは、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「ミッション2050」を掲げ、電動車両の導入やSAF活用、施設のカーボンニュートラル化などを進めている。2023年にはSAFを活用した国際輸送サービス「GoGreen Plus」を開始し、日本では約8200社が導入しているという。

中部空港を出発する貨物便で国産SAFの使用を始めたDHL=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中部空港を出発する貨物便で国産SAFの使用を始めたDHL=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

中部空港を出発する貨物便で国産SAFの使用を始めたDHL=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国産SAFのサンプル=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

国産SAFをPRする中部空港=25年5月23日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
関連リンク
DHL
中部国際空港 セントレア
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