日本航空(JAL/JL、9201)は、自社で運航していた中型旅客機ボーイング767-300ER型機を改修した貨物専用機767-300BCFの3号機(登録記号JA621J)の運航を1月14日から始め、計画していた3機がすべてそろった。独DHLエクスプレスと協業し、東アジアで旺盛なeコマース需要を取り込む。国内の航空会社が運航する767-300BCFで、翼端に燃費を改善する「ウイングレット」が付いた機体は初となった。

成田空港に到着するJALの767-300BCF 3号機JA621J=25年1月17日 PHOTO: Youichi KOKUBO/Aviation Wire
3号機は2009年3月に引き渡された機体で、旅客機としての最終便は2024年8月5日のソウル(金浦)発羽田行きJL92便だった。貨物機への改修を行うシンガポールのパヤ・レバー空港へは、2日後の同月7日に羽田からフェリーフライトのJL8155便として出発。改修後はフェリーのJL8160便として成田の202番スポットへ1月13日に到着した。
初便は14日の成田発大連行きJL6779便で、成田の202番スポットから午前11時49分に出発。現地時間午後2時21分に到着した。

客室の窓がふさがれたJALの767-300BCF 3号機JA621J=25年1月17日 PHOTO: Youichi KOKUBO/Aviation Wire

成田空港で出発を待つJALの767-300BCF初便の台北行きJL6719便=24年2月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JAL 767-300BCFのメインデッキ貨物室=24年2月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
JALは自社で保有する767-300ERのうち、3機を767-300BCFに改修。「BCF」はボーイング・コンバーテッド・フレーターの略で、最大搭載重量は客室だった「メインデッキ」の上部貨物室が32トン、改修前からある床下の下部貨物室が16トンの計48トンで、上部にはパレットを24台、下部にはパレット3台に加え、コンテナを9台搭載できる。
機体前方には、貨物郵便事業部門「JAL CARGO(JALカーゴ)」のロゴが大きく描かれ、メインデッキ前方左側には貨物用パレットを積み込む134 x 103インチ(340 x 262センチ)の大型ドアが1カ所設置され、客室の窓はふさがれた。
改修初号機のJA653Jは、2024年2月19日に就航。初便は成田発台北行きJL6719便で、JALが貨物機を自社で運航するのは経営破綻した2010年10月以来、13年4カ月ぶりとなった。2号機のJA654Jは同月27日に就航し、初便は同じく台北行きJL6719便だった。

成田空港を出発するJALの767-300BCF 3号機JA621J初便大連行きJL6779便(25年1月14日、同社提供)
3号機となったJA621Jは、国際線仕様「スカイスイート767」(2クラス199席:ビジネス24席、エコノミー175席)だった機体で、国内の航空会社が運航する767-300BCFでは、初のウイングレット付きの機体となった。一方、新造の貨物機767-300Fでは、ANAホールディングス(9202)傘下の貨物事業会社ANAカーゴ(ANA Cargo)のJA605Fにウイングレットが装備されている。
JALが767-300BCFの初号機導入時から協業しているDHLは、香港にあるアジア最大規模のハブ施設「セントラルアジアハブ」を拡張するなど、航空貨物インフラを強化。同社との長期契約を通じて、貨物スペースの安定的な活用を図っている。

上海浦東発JL6784便として成田へ戻ったJALの767-300BCF 3号機JA621J=25年1月17日 PHOTO: Youichi KOKUBO/Aviation Wire

成田空港に到着するJALの767-300BCF 3号機JA621J=25年1月17日 PHOTO: Youichi KOKUBO/Aviation Wire

成田空港に到着するJALの767-300BCF 3号機JA621J=25年1月17日 PHOTO: Youichi KOKUBO/Aviation Wire
13年ぶり貨物機就航
・JAL、貨物機13年ぶり復活 767-300BCFで投資抑制、DHLと長期契約(24年2月19日)
・JAL、767貨物機で成田-大連 6/18就航、海外6都市目(24年6月7日)
・JAL、767貨物機で成田-天津4/20就航 海外5都市目(24年4月12日)
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成田到着・公開
・JAL、13年ぶり貨物機公開 767転用、DHLと東アジア協業(24年2月8日)
・JAL 767貨物機、成田に到着 2/19就航、14年ぶり専用機(24年1月17日)
JAL貨物機解禁の背景
・JALはなぜ”禁じ手”貨物機を解禁するのか 特集・ヤマトと組むコロナ後の貨物戦略(23年5月4日)
ヤマトとA321P2F
・ヤマトとJAL、羽田にA321クロネコ貨物機就航 スプリング・ジャパンが運航(24年8月1日)
・ヤマトとJAL、クロネコ貨物機A321P2F就航 長距離トラック補完(24年4月11日)
・ヤマトHD、“クロネコ貨物機”増機検討 A321P2F、需要見極め新就航地も(24年4月11日)