エアバス, エアライン, 機体, 空港 — 2023年11月22日 08:44 JST

ヤマトのA321P2F貨物機、関空へ初の訓練飛行 JAL系スプリングJが運航

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 ヤマトホールディングス(9064)が保有するエアバスA321ceo P2F貨物機の初号機(登録記号JA81YA)が11月22日、成田空港のA滑走路(RWY34L)から午前8時40分に離陸し、初の飛行訓練「プルービングフライト」の目的地である関西空港へ向かった。22日は成田-関西間を1往復する見通しで、運航は日本航空(JAL/JL、9201)、JALグループのLCC、スプリング・ジャパン(旧春秋航空日本、SJO/IJ)が担う。

成田空港のスポットに到着した(手前から)ヤマトのA321ceo P2F貨物機の初号機、スプリング・ジャパンの737-800、JALの787-8=23年11月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 就航は2024年4月11日を予定。トラックドライバーの時間外労働の上限規制など、輸送力減少が懸念される中、首都圏から北海道や九州、沖縄への長距離トラックによる宅急便輸送の一部を補完する。

 A321P2Fは、中古のA321ceo(従来型A321)旅客機を貨物専用機に改修したもので、10トン車約5-6台分に相当する1機当たり28トンの貨物を搭載できる。ヤマトHDは3機のA321P2Fを導入予定で、ヤマトが貨物機を導入するのは初めて。国内の航空会社がA321P2Fを運航するのも初となり、LCCが貨物機を運航するのも初の取り組みになる。

 運航体制は、ヤマトHD傘下のヤマト運輸が配送拠点と空港間の陸上輸送や、空港の貨物上屋での積み付けを担当。JALが空港の貨物上屋内での貨物計量やランプハンドリング、機体の整備を担い、スプリングが運航とオペレーションコントロール、ロードコントロールを担当する。また、JALとスプリングは貨物便をコードシェア(共同運航)を予定している。

成田空港で公開されたヤマトのA321ceo P2F貨物機の初号機=23年11月20日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 当初は機体をお披露目した20日からプルービングフライトを始める予定だったが、機体に整備作業が発生したことから延期となった。初日の22日は、定刻ベースで関西行きIJ9625便が成田を午前8時20分に出発し、午前10時着。成田行きIJ9626便は午後2時に出発して、午後3時25分に戻る。

 通常のプルービングフライトは、成田から北九州経由で関西へ向かい、成田へ戻る三角運航で、1回3区間で1日あたり2回、計6区間飛行する。フライト時に貨物は搭載せず、必要に応じて機体のバランスを取る「おもり」を載せるという。

 11月のフライトは、1便目が成田を午前7時45分に出発し、北九州へ午前9時50分着、2便目は北九州を午前10時25分に出発し、関西空港へ午前11時25分着、3便目は関空を正午に出発し、成田へ午後1時25分着、4便目は成田を午後2時30分に出発し、北九州へ午後4時35分着、5便目は北九州を午後5時10分に出発し、関空へ午後6時15分着、最後6便目は関空を午後6時50分に出発して、成田には午後8時15分に到着する。

 4月11日の就航当初は、成田-札幌線を1日2往復4便(IJ403/406、IJ405/408)、成田-北九州線を1日3便(成田発IJ425、北九州発IJ422と426)、成田発那覇行きを1日1便(IJ451)、那覇発北九州行きを1日1便(IJ456)運航。夏ごろをめどに、羽田空港を深夜早朝に発着する便の運航を始める。

11/22の運航スケジュール
IJ9625 成田(08:20)→関西(10:00)
IJ9626 関西(14:00)→成田(15:25)

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