エアライン, 空港, 解説・コラム — 2023年9月8日 11:10 JST

ANA羽田接客No.1立原さん「一人ではなし得ない仕事」特集・第7回Haneda’s Prideコンテスト

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 新型コロナの「5類」移行や、7月の第2ターミナル国際線施設再開など、旅客需要が急回復する羽田空港。全日本空輸(ANA/NH)を中核とするANAグループは、羽田で働く約1600人のグランドスタッフ(地上旅客係員)の中から「おもてなしNo.1」を決めるコンテスト「Haneda’s Prideコンテスト」を9月5日に開催した。出場者12人の中から、国内線を担当する立原衣梨さん(旅客サービス4課)が第7回大会のグランプリに輝いた。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに選ばれた立原さん(中央)、準グランプリの今井さん(左)と佐久間さん。17年度入社同期が上位を独占する結果となった=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 準グランプリには旅客サービス1課 国際担当の今井はるかさんと、旅客サービス6課 国内担当の佐久間琴美さんが選ばれ、審査員特別賞を旅客サービス5課 国際担当の大山智子(のりこ)さんが受賞した。このうち、グランプリの立原さんと準グランプリの今井さん、佐久間さんは2017年度入社の同期で、大山さんも2016年度入社と、社内資格を取得して後進の指導にもあたるスタッフが入賞した。

 「決して一人ではなし得ることができないお仕事」と、表彰式であいさつした立原さんは、普段どのようなことを心掛けて接客しているのだろうか。

—記事の概要—
空港を訪れる人はさまざま
「一人ではなし得ることができない仕事」

空港を訪れる人はさまざま

 2017年から毎年開かれているコンテスト。ANAグループで羽田の空港業務を担うANAエアポートサービス(ANAAS)が定めるグランドスタッフに求められる3つの基本行動「気持ちのいい挨拶をする」「常に笑顔でアイコンタクトをする」「美しい所作で魅了する」を体現できるスタッフを決めるとともに、羽田全体の接遇スキル向上につなげるほか、他空港にもライブ配信することで、グループ全体の学びの場としても活用している。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 出場者1人あたりの持ち時間は8分。ロールプレイ形式の審査で、利用者は社員が演じた。ロンドン線が第2ターミナルに移ったことを知らずに第3ターミナルに来てしまった人、空港に着くのが遅れてしまい、搭乗便に乗れなかった人、足が不自由な人など、さまざまなシナリオが出場者ごとに用意された。

 審査は目の前にいる人の応対だけではない。接客中に慌てた様子で話しかけてくる人など、日々の業務で起こりうる突発的な要素も織り込み、今その場で起きていることへの対応力が求められた。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さんの接客実技=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに輝いた立原さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 普段は緊張してしまうというグランプリの立原さん。審査では、若いころは野球をやっていたという、「65歳のおじさん」が飛ばすジョークもしっかり受け止め、利用者役に寄り添いながら接客をしていた。

 「お客さまの気持ちを察することを、一番大切にしています。空港にいらっしゃる方はさまざまで、(旅行で)楽しく過ごされている方だけではないと思うので、時間に追われている方もいらっしゃいます」(立原さん)と、さまざま人が行き交う空港という場所を強く意識しているという。

 日々の行動の基になるのが、会社が求める「3つの基本行動」だ。「その中で、お客さまが何を求めてらっしゃるのかな、と考えて行動しています」と、利用者の心中を察した接客を心掛けている。

「一人ではなし得ることができない仕事」

 立原さんのグランプリ獲得は、準グランプリになった同期2人も喜んでいた。今年で5回目の出場となった今井さんは「同期と一緒の受賞でうれしいです」と笑顔を弾ませた。「毎回緊張してしまい、自分らしいサービスができず後悔が残っていましたが、今回はあまり緊張せずにできたので、自信にもつながりました」(今井さん)と喜ぶ。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストで準グランプリに選ばれた今井さん(左)と佐久間さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストで審査員特別賞を受賞した大山さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 同じく準グランプリの佐久間さんは、12人中11番目の出場だったことから、「終盤だったので緊張感が高まっていましたが、(同僚の)応援で自分らしくできました」と、会場の応援や、コンテストで恒例となった同僚たちによる出場者ごとに趣向を凝らしたビデオメッセージなどが支えになったという。

 接客を評価されてコンテストに挑んだ出場者たちだが、審査される立場での接客は、普段とは違う緊張感があるようだ。審査員特別賞を受賞した大山さんは「緊張すると早口になってしまうところがあるので、ゆっくり、丁寧に、わかりやすい説明を心掛けました」と、自分を冷静に分析して出場したことが、良い接客につながったようだ。

ANAの第7回Haneda’s Prideコンテストでグランプリに選ばれた立原さん(中央左)、準グランプリの今井さん(左)と佐久間さん(中央右)、審査員特別賞の大山さん=23年9月5日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 審査員を務めたANAASの小山田亜希子社長は「やはり一人ではなく、仲間のおかげ。旅客の仕事はチームワーク」と表彰式で語り、コンテストで披露した接客技術を、後輩たちに伝承していって欲しいという。

 グランドスタッフという仕事について、立原さんも「一人ではなし得ることができない仕事です」と表現する。

 どのような人に入社して欲しいかを尋ねると「一つの目標にみんなで協力し、達成したいと思っている方や、一緒に協力して頑張りたいと思う方はすごく楽しめると思いますし、とてもやりがいも感じると思います」と、笑顔を絶やさず接客したコンテストを振り返りながら話した。

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全日本空輸
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