エアライン, ボーイング, 機体 — 2021年3月21日 20:52 JST

747-8、旅客型初飛行から10年 2022年に生産完了

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 ボーイングは現地時間3月20日、747-8型機の旅客型が初飛行から10年を迎えたとTwitterに投稿した。一方、2022年に747の製造が完了することが決まっており、最終生産分となる4機の貨物型747-8Fをアトラスエアー(GTI/5Y)などを傘下に持つアトラス・エア・ワールドワイドが受領する見通し。

初飛行から10年を迎えた747-8=11年3月 PHOTO: Ed Turner/Boeing

 747は1969年2月9日に初飛行し、1970年1月22日に当時のパンアメリカン航空(パンナム)がニューヨーク(JFK)-ロンドン(ヒースロー)線に就航させた。米空軍が1960年代に計画した大型戦略輸送機プロジェクト「CX-HLS」で、ボーイング案はロッキードのC-5「ギャラクシー」に破れたものの、設計を発展させて民間機の747を開発した。

 最新の747-8は、旅客型の747-8「インターコンチネンタル」と、貨物型の747-8Fがある。米GE製新型エンジンのGEnx-2Bを4基搭載しており、新設計の主翼などと合わせて、従来の747-400と比べて燃費を改善し、騒音は30%軽減、二酸化炭素排出量は15%削減出来るとしている。受注と初飛行は747-8Fが先行し、2010年2月8日に初飛行している。旅客型のメーカー標準座席数は、3クラス410席となっている。

 747-8ファミリーの今年2月末時点でのキャンセルを含む総受注は旅客型58機と貨物型142機で、納入済みは旅客型が47機、貨物型が95機、受注残は旅客型が1機、貨物型が12機。このまま受注残がキャンセルされない場合、最終的な納入機数は旅客型が48機、貨物型が107機の計155機となる見通し。

 前モデルの747-400が旅客と貨物合わせて694機が引き渡されたのと比べると、双発の大型機777の台頭や航空会社の戦略見直しなどに伴い、747-400全体の2割強の引き渡しにとどまる。日本の航空会社では、日本貨物航空(NCA/KZ)が747-8Fを発注したのみで、旅客型を導入した会社はない。

 ボーイングは2016年7月に、747-8の受注が見込めない場合、製造中止を検討することを明らかにした。その後も旅客型と貨物型ともに受注が伸び悩む状況は変わらず、2020年7月29日には747の製造を2022年に終えると発表した。一方、米空軍は次期大統領専用機として747-8を改修する契約を、ボーイングと2017年8月に結んでおり、747-200をベースとする現行機VC-25Aに続いてジャンボが採用された。

 エンジンが4基ある「4発機」の苦境は競合のエアバスも同じで、総2階建ての超大型機A380の製造を2021年で終了すると2019年2月に発表。最後の機体(テストレジF-WWSH、予定登録記号A6-EVS、MSN272)はエミレーツ航空(UAE/EK)向けで、今月17日に初飛行した。今後は独ハンブルクで塗装し、エミレーツへ引き渡す。

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Boeing
ボーイング・ジャパン

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