都道府県をまたぐ移動の自粛が全国で緩和された6月19日、ピーチ・アビエーション(APJ/MM)は国内線全22路線の運航を再開した。当初は減便して運航するが、7月22日からは全路線ですべての便の運航を再開し、計画通り便数を1日あたり約100便に戻す。8月は増便により計画を552便(16.8%)上回る月間3822便を運航し、国内旅行や帰省需要などに対応する。
ピーチは新型コロナウイルスで運休していた国内13路線について、6月から順次再開。1日に福岡-那覇線を再開し、残りの関西-福岡線、釧路線、成田-奄美線など12路線を19日から再開した。一部路線は減便を継続するものの、国内22路線が70日ぶりに復活した。一方、国際線17路線は8月末まで全便運休を決定している。
国内全路線再開後の減便・運休は、7月21日までに段階的に解消。翌22日からは新型コロナ以前に策定した夏ダイヤの計画便数に戻す。繁忙期の8月1日から31日までは国内11路線を増便する計画で、入国規制などで国際線を運航できない中、国内線需要の取り込みをめざす。
4月に副社長から昇格したピーチの森健明CEO(最高経営責任者)は、「海外旅行は気軽に行けないが、国内旅行で日本や地方の魅力に触れていただきたい」と語った。
一方、国際線の見通しについては、Aviation Wireの単独インタビューに対して「早くても来年の冬までは難しいだろう」と応じた。ワクチン接種開始や治療法確立などが期待される来年までは、国内線を中心に事業展開を進める。国際線を再開できそうな状況になった場合は、「1カ月程度で再開できるよう、体制を整えている」(森CEO)として、段階的な再開にも対処できるようにしているという。
また、中距離国際線に投入予定の新型機エアバスA321LRは、新型コロナの影響で製造が遅れていることから1年遅れとなる来年に受領し、国際線の再開が難しい場合は国内の高需要路線に投入する。
19日は、森CEOと客室乗務員らがこの日から再開した関西-釧路線の初便である関西発釧路行きMM125便(エアバスA320型機、登録記号JA812P)を見送った。予約は約130人だったが、乗客数は96人(座席を使用しない幼児2人含む)で、午前9時55府に出発した。
関西-釧路線はピーチの単独路線。森CEOは、「われわれが飛ぶことで地方経済を活性化し、日本経済の活性化につなげたい」と語った。
MM125便に使用した機体は、整備の関係で機首にあるレーダーのカバーが通常の白と異なるグレーになっており、さながら飛行機がマスクを着けているかのような外観だった。ピーチによると、機首の色が異なるのはこの機体だけだという。
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ピーチ・アビエーション
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