エアライン, ボーイング, 機体 — 2019年12月12日 18:14 JST

IATA、世界航空各社の2020年純利益13.1%増293億ドル ジュニアック事務総長「今年は経済循環の底」

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 IATA(国際航空運送協会)は現地時間12月11日、世界の航空会社による2020年の純利益予想について、2019年見込み比13.1%増の293億ドル(約3兆1830億円)と発表した。達成した場合、航空業界としては11年連続で黒字になる。

ジュネーブで20年の世界の航空会社による業績見通しを発表するIATAのジュニアック事務総長=19年12月11日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 一方、2019年の純利益見通しは、6月の発表値を21億ドル下回る259億ドルに引き下げた。世界のGDP成長率が6月時点の2.7%から2.5%に鈍化したことなどを反映した。2020年は米国の大統領選が貿易摩擦の緩和に寄与し、原油価格は下落が続くとの見方を示した。

 全世界の旅客数は2019年と比べて4.0%増の47億2000万人を見込む。これを受け、総収入は4.0%増の8872億ドルと予想。営業利益率は2019年の見込み値から0.3ポイント改善して6.0%、純利益率は0.3ポイント改善となる3.4%を見込む。貨物量については、2.0%増の6240万トンと予想している。

 有償旅客の輸送距離を示すRPK(有償旅客キロ)は比4.1%増、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は4.7%増、ロードファクター(座席利用率)は0.4ポイント下落し82.0%を見込む。

 原油価格は世界経済の成長鈍化により需要が冷え込んだことから、1バレル平均65ドル、ジェット燃料価格は1.4ドル下落し75.60ドルと予想。コストに占める燃油費の割合は1.6ポイント低下し22.1%を見込む。

 地域別の見通しのうち、アジア太平洋地域の航空会社が計上する純利益は60億ドルを見込む。

 ジュネーブで予測を発表したIATAのアレクサンドル・ド・ジュニアック事務総長兼CEO(最高経営責任者)は「経済成長の鈍化や貿易戦争、地政学的な緊張、Brexit(ブレグジット)は、航空会社にとり予想以上に厳しいビジネス環境を作り出した。2019年は現在の経済循環の底にあたり、2020年の予測はやや明るい」と語った。

 また、2件の墜落事故が相次いだボーイング737 MAXにも言及。「737 MAXの運航や引き渡しが再開された場合に、座席供給量がどのように発展するかだ」と述べた。

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IATA

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