エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2019年4月10日 23:45 JST

春秋航空日本、新ブランド「SPRING」 21年度黒字化目指す

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 春秋航空日本(SJO/IJ)は4月10日、新ブランドとして「SPRING」を使用すると発表した。機体や空港のチェックインカウンターなどのデザインを順次刷新するとともに、ウェブサイトもリニューアルした。拠点とする成田空港の運用時間拡大を活用し、2021年度の黒字化を目指す。

新ブランド「SPRING」について説明する春秋航空日本のワン会長(右)と樫原社長=19年4月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
新ブランドで21年度黒字化
機材稼働を最大化
着陸料割引を活用

新ブランドで21年度黒字化

 2014年8月1日に就航したSPRINGは、体制の立て直しを進めており、社長には日本航空(JAL/JL、9201)のパイロット出身の樫原利幸氏が2018年3月に就任した。6月からはJALと整備子会社JALエンジニアリング(JALEC)へ航空機の管理を含む包括的な整備業務委託を始めており、今回策定した2019-2021年度の中期事業計画では最終年度で黒字化を目指す。

新ロゴを描いたSPRINGの737-800のイメージイラスト(春秋航空日本提供)

 新ブランドのSPRINGは、経営の3S「Safety 安全」「Sincerity 誠意」「Smile 笑顔」に加え、「Swing ココロ躍る」と「Spring 飛躍」を掲げた。春秋航空日本の王煒(ワン・ウェイ)会長は、「SPRINGの多面的な要素を新ブランドに込め、イメージを刷新する」と語った。

 ワン会長によると、親会社の春秋航空(CQH/9C)もタイなど非中国語圏では英語名の「Spring Airlines」を使用しており、グローバル展開ではこちらを使用しているという。「日本でもSPRINGは浸透しやすいと思う」(ワン会長)として、ブランド統一を進める。

 機材のロゴは、整備のタイミングで変更し、早ければ成田-寧波線が就航する4月25日にも登場する見込みだ。機内誌も寧波線就航に合わせて刷新する。

機材稼働を最大化

 SPRINGはボーイング737-800型機(1クラス189席)を6機保有。現在は5機で国内線3路線と国際線4路線の計7路線を運航しており、成田-寧波線が4月25日に就航すると、6機すべてを投入する体制になる。

6機の737の稼働率を最大化させるSPRING=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 今後の機材計画について、ワン会長は「まずは6機の稼働率を上げたい。就航計画に合わせて7機目も視野に入れる」と説明。樫原社長は1機当たりの平均稼働時間について「現状は6-7時間なので、10時間以上にしたい」と述べ、課題となる機長の確保も「副操縦士の機長昇格が始まっており、今後増やしていく」と語った。

 機材稼働率を高めることで、冬ダイヤにも増便や新路線開設を目指す。

 路線展開については、「中国から訪日客を運ぶことがミッションなので、春秋航空が関西空港や中部空港に就航している路線を成田に飛ばしたい」(ワン会長)と述べた。

 成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)によると、成田から中国本土への就航都市は22都市で、このほかに関空や中部のみ就航している17都市については拡大余地があるとして、就航を働きかけていくという。

 橿原社長は「本邦航空会社は中国路線を開設するハードルが高い」と指摘し、中国系の航空会社である強みを発揮することで、中国本土で路線拡大を目指す。

 搭乗率については、「2018年は国際線が90%で閑散期も85%以上。国内線は北海道の地震などの影響で70%前後だった。年明けからは国際線が95%、国内線が90%だ」(橿原社長)と、好調に推移しているという。

 利用者の内訳は、「中国人が9割だが、3割は日本人に使ってもらいたい」(橿原社長)として、旅行代理店と中国各地への旅行商品を企画していくという。

 橿原社長は「JALとの提携までは3機稼働で路線を縮小していたが、2019年度は赤字を半減したい。2020年度は少なくともトントン、その先は黒字化が目標」と述べ、中計最終年度となる2021年度の黒字化を目標に掲げた。

着陸料割引を活用

 4月25日に週4往復で開設する成田-寧波線は、NAAが1日から導入した航空会社への新規就航インセンティブ制度「朝発ボーナス」の国際線適用第1号となった。

成田-寧波線の就航日を発表する春秋航空日本のワン会長(左から4人目)と樫原社長(同3人目)ら=19年4月10日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 朝発ボーナスは、国際線の場合は午前6時から午前8時59分発、国内線は午前6時から午前7時59分発の新規就航便を対象にした着陸料の割引制度。成田空港として新規路線であれば3年間無料、航空会社として新路線であれば3年間半額にする。

 NAAによると、SPRINGが737-800で3年間毎日運航した場合、約1億5000万円の運航コスト削減につながるという。

 成田空港は10月27日に始まる冬ダイヤから運用時間が1時間延長され、2本ある滑走路のうち、4000メートルのA滑走路(RWY16R/34L)は午前6時から翌日午前0時まで離発着できるようになる。また、午後10時以降はA滑走路とB滑走路各10回ずつ、計20回までの便数制限を設けているが、これを撤廃する。

 成田の機能強化に伴い、SPRINGは寧波線に加えて成田発着の中国沿岸路線を1路線開設して1日1往復ずつ計2往復としたり、成田を深夜に出発して早朝に戻る路線の開設などを検討していく。

関連リンク
SPRING

SPRING、成田-寧波4月25日就航 早朝の着陸料割引活用(19年4月10日)
成田空港、深夜0時まで運用延長 9市町と合意、冬ダイヤから(19年1月31日)
春秋航空日本、17年12月期最終赤字42億円で債務超過 今期黒字化が課題(18年6月25日)
春秋航空日本、JALへ整備委託開始(18年6月7日)