エアライン — 2017年2月24日 19:30 JST

JAL、家族招いて職場見学 プレミアムフライデー、余暇で働き方改革

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 経済産業省などが推進する「プレミアムフライデー」初日となった2月24日、日本航空(JAL/JL、9201)は当日に半休を取得した社員の家族を東京・品川のJAL本社に家族を招き、職場見学会を実施した。家族は職場見学のほか、植木義晴社長ら同社役員と交流した。

腰を落とし職場見学会の参加家族と名刺交換する植木社長(右)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

余暇充実でメリハリある働き方

 JALはフレックス勤務部門の拡大や在宅勤務制度、オフィス内での座席を定めないフリーアドレスなどを導入し、「ワークスタイル変革」を実行している。職場見学会もその一環で、余暇を充実させメリハリのある働き方へのきっかけとする。

 今回の職場見学会の参加者は、管理部門などバックオフィス系の約400人の社員から募り、7人が参加。7家族から計16人が見学に訪れた。7人は半日休暇などを取得して、金曜午後の余暇を楽しんだ。

プレミアムフライデーを定着させたいと語るJALの植田執行役員=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 人事部長の植田英嗣執行役員は、見学会開催の趣旨について、「どんなところで働いているか、ご家族に職場を見てもらう」と説明。プレミアムフライデーを「働き方改革」の一環としてとらえ、社内に定着させていく意向を示した。

 JALは年間休日を123日設定し、有給休暇は最大20日取得できる。植田執行役員によると、2015年は取得率83.5%で、今後、有給休暇の完全消化を目指すという。残業は2015年度、本社部門の月平均で11時間程度。2017年度には月5時間の残業を目指す。

 植田執行役員は「時間には限りがある。決まった時間の中で成果を上げる、という気持ちを持つことが大切」と述べた。その上で「生産性を上げるためには、業務のプロセス見直しも必要」とし、フレックスタイムや在宅勤務制度の導入事例を紹介した。

業務の優先順位、強く意識

職場見学会に参加する家族に手作りの社員証を手渡す南さん(左)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

 参加者のひとり、人事部の南仁(みなみ・ひとし)さん(33)は人事システムの改修仕様の決定やユーザー部門のサポートなどに従事している。当日は妻・雅子さん(31)と娘・咲ちゃん(2)を会社に招き、“働くパパ”の姿を見せた。

 普段どおり、午前8時30分に出社した南さんは正午までに通常業務を終わらせ、正午過ぎに家族を出迎えた。「きょうに限らず、最近は定時退社を意識している」と話す南さんは、以前と比べ、業務の優先順位を強く意識するようになったという。現在は午後6時30分くらいに退社しているが、ワークスタイル変革を取り入れる前までは、月10時間程度の残業が発生していたようだ。

 南さんは咲ちゃんのために、手作りの社員証と名刺を制作。職場に着くと、同僚らが「かわいい」と声を上げ、華やいだ雰囲気となった。咲ちゃんは南さんのひざの上で、お父さんの仕事を観察した。

 その後に移動した役員室では、植木社長など役員らと名刺交換。咲ちゃんら3人の子どもたちと名刺交換をした植木社長は、「若い新入社員が3人入った。古い取締役3人と入れ替えなきゃ」とリラックスした様子で語った。

 役員室を後にした南さんらは、オペレーションコントロールセンター(OCC)を見学。子どもたちには、見学前に共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」のキャラクターで、タヌキをモチーフにした「ポンタ」のシールやお菓子などをプレゼントした。子どもたちは大きな画面に表示された天気図などよりも、シールなどに気を取られた様子だった。

咲ちゃんを膝にのせて仕事する南さん=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

午後半休、子育てにも

 関西地方出身の南さんは、「土日の東京はどこも混んでいる」と話し、プレミアムフライデーについては「(午後半休により)金曜の空いているときに出かけられるのは魅力的」と好印象を持った様子で、「4月から共働きになる。プレミアムフライデーなどを活用して、子育ての時間にも充てたい」と続けた。

 退社後は、家族と品川の水族館に向かう。「先週、四国に行った」ため土日の休日は骨休めに充て、「自動車のディーラーに行く」のだそうだ。

 職場見学会については「最初は恥ずかしかった」としながらも、「同僚が温かく迎えてくれた。働いてる場所を家族に知ってもらういい機会」と話した。

 妻の雅子さんは、「働いているお父さんの姿を、娘に見せられたのは意義がある」と振り返り、「金曜午後に早く退社できるのであれば、2泊の旅行にも行きやすくなる」と話した。咲ちゃんは「ポンタのシールをもらったのがうれしかった」と疲れた様子で話し、水族館に向かった。

 プレミアムフライデーは、家族との旅行や外食、買い物などを通じ、充実感や満足度を実感できるライフスタイルへの変革や、デフレ的な傾向を変えて消費行動を喚起するきっかけ作りなどに向けた取り組み。経産省や経済団体などが「プレミアムフライデー推進協議会」を立ち上げ、経産省から受託した博報堂が事務局を運営している。2月24日が初回で、2回目以降も月末の金曜日を軸に実施していく。

南さんに抱えられオフィスに入る咲ちゃん(右)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

植田執行役員と名刺交換する咲ちゃん(右)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

咲ちゃんにフリーアドレスのボードを説明する南さん(左)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

オフィスを出る南さん一家=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

役員室の神棚を見る南さん(左)と咲ちゃん=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

見学会の参加者を抱きかかえるJALの藤田直志副社長(中)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

南さん一家と交流する植木社長(右)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

見学会の参加家族との記念撮影に応じる植木社長(中)=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

オペレーションコントロールセンターを見学する参加家族=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

午後半休を利用して水族館に向かう南さん一家。(左から)雅子さん、咲ちゃん、仁さん=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

午後半休を利用して水族館に向かう南さん一家=17年2月24日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

関連リンク
日本航空
プレミアムフライデー推進協議会

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