IATA(国際航空運送協会)は現地時間6月8日、航空機からの緊急脱出時に機内持ち込み手荷物を持ち出さないよう乗客に呼びかける安全キャンペーン「Save a Life, Not a Bag」を始めた。乗務員の指示に従い、すべての手荷物を機内に残し、最寄りの使用可能な出口へ速やかに移動するよう促す。

海保機との衝突で焼け落ちたJALのA350-900 JA13XJ。乗客乗員全員が助かった=24年1月3日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire
—記事の概要—
・1秒の遅れが脱出左右
・10人に1人「持ち出す可能性」
・手荷物で通路・出口ふさぐ恐れ
1秒の遅れが脱出左右
キャンペーンは、EASA(欧州航空安全庁)やFAA(米国連邦航空局)などの航空安全当局が支援している。IATAは、脱出時に手荷物を取り出す乗客の事例が増えており、写真・動画を撮る行動もみられると説明。こうした行動は、オンラインに投稿された多くの動画でも確認されているという。
IATAのウィリー・ウォルシュ事務総長は、脱出時に手荷物を持ち出すことは「軽微な問題ではない」と指摘した。緊急時は1秒1秒が重要で、手荷物1個でも機内全員の安全な脱出に影響し得るという。乗務員の指示は明確で単純だとして、すべてを残して速やかに移動するよう求めた。
10人に1人「持ち出す可能性」
IATAは、緊急時に荷物を取り出そうとする行動を防ぐため、重要な小物は離着陸前に身に付けておくよう呼びかけている。乗務員の指示に従い、手荷物を置いて、立ち止まらず速やかに脱出するよう促している。
IATAがキャンペーン開発に合わせて米国、英国、UAE、シンガポールの4市場で実施した旅客調査では、緊急脱出時に何をすべきか知っていると答えた人は80%だった。一方で、「すべての私物を置いて機外へ出る」と正しく答えた人は61%にとどまった。
10人に1人は、指示されていても脱出時に手荷物を持ち出す、または持ち出す人に追随する可能性があると認めた。航空機の脱出手順が90秒の安全基準を前提に設計されていることを知っていた人は18%にとどまった。旅券や現金、薬などを身に付けていれば、手荷物を持ち出す可能性が低くなると答えた人は60%だった。
手荷物で通路・出口ふさぐ恐れ
手荷物を持ち出すと、客室内の移動が遅くなり、通路や出口をふさぐ恐れがある。乗客が手を使えず転倒したり、ほかの乗客を負傷させたりする可能性もある。手荷物が脱出用スライドを損傷したり、出口誘導灯を見えにくくしたり、座席や機内設備に引っかかったりするリスクもある。
IATAによると、リスクは手荷物を持つ本人にとどまらない。1人の乗客が荷物を取り出すために立ち止まるだけで、ほかの乗客の脱出を遅らせ、乗務員の指示や出口、スライドの使用に影響する可能性がある。
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