エアライン, 官公庁, 解説・コラム — 2026年6月1日 11:55 JST

中堅4社への出資規制を正式廃止 国内航空のあり方報告書公表=国交省

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 国土交通省航空局(JCAB)は5月29日、「国内航空のあり方に関する有識者会議」の報告書を正式に公表した。全体像は、22日に開いた最後の会合で示した報告書案から変わっておらず、国内航空ネットワーク維持に向け、航空会社間の競争を原則としつつ、路線特性に応じた協調を容認する方向を正式に示した。また、同日付で独占禁止法の適用除外に関するガイドラインを策定し、大手航空会社による特定既存航空会社への出資規制も、航空局長通達を改正して廃止した。

中堅4社への出資規制廃止が盛り込まれた国交省「国内航空のあり方に関する有識者会議」の報告書=26年5月28日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
競争維持し協調容認
出資20%超で発着枠回収
運賃監視とATR品質改善
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競争維持し協調容認

 報告書は、2024年度に国内線事業の収支が実質的に赤字に転落したことを踏まえ、国内線ネットワークを維持するための施策をまとめた。5月22日の報告書案で示した出資規制廃止や羽田発着枠の回収・再配分、航空会社間のダイヤ調整、便数調整や運航社集約、運賃モニタリング、需要に応じた機材活用、地域航空を担う仏ATR製ターボプロップ機の運航品質改善などの骨格を維持した。

コロナで状況が大きく変わった国内線。写真は政府が初の緊急事態宣言を発令して一夜明けた羽田空港(空撮)=20年4月8日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国内線は、新型コロナの影響とその後の需要構造変化で厳しい状況にある。オンライン会議の普及で高単価の出張需要が減少する一方、機材や部品調達、海外重整備などの外貨建て費用に加え、燃油費、整備費、人件費も上昇している。報告書は、旅客数が新型コロナ前の水準まで回復する一方、国内線事業の収支は2024年度の時点で実質的に赤字へ転落したとした。

 路線維持策では、複数社が同じ時間帯に集中するダイヤの調整を盛り込んだ。一定の要件を満たせば、事業者間のダイヤ調整は原則として独禁法上問題とはならないとの考え方を示した。便数調整や運航社集約など供給量を含めた調整は、離島路線など地域住民の生活に必要な路線や、地域の社会経済活動で重要な役割を果たす路線を対象に、航空法第110条第1号に基づく独禁法適用除外の活用を選択肢とした。

出資20%超で発着枠回収

 特定既存航空会社への出資規制は、スカイマーク(SKY/BC、9204)など規制緩和後に参入した中堅航空会社に対し、全日本空輸(ANA/NH)や日本航空(JAL/JL、9201)といった大手航空会社からの出資を実質20%までに制限してきたもの。報告書は、優先配分終了から約15年が経過し、出資規制が航空会社間の協業やM&Aを含む経営判断の自由度を制限しているとして、廃止を適当とした。

特定既存航空会社のエア・ドゥ(手前)とソラシドエア=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国内の中堅航空会社を指す「特定既存航空会社」は、スカイマーク、スターフライヤー(SFJ/7G、9206)、エア・ドゥ(ADO/HD)、ソラシドエア(SNJ/6J)の4社。規制緩和により1990年代以降に参入した旧・新規航空会社を指す。ANAを傘下に持つANAホールディングス(ANAHD、9202)は、直接出資や共同持株会社を通じ、4社すべてと実質的な資本関係がある。

 出資規制廃止後、大手航空会社による特定既存航空会社への出資比率が20%を超える場合などは、競争環境維持の観点から羽田発着枠を一定程度回収する。回収規模は、大手から出資拡大などを受ける特定社の保有枠の10%を超えない範囲とした。回収した発着枠は、出資比率拡大などに関わらない特定既存航空会社のみに再配分する。

 航空会社間の機材融通では、航空法第113条の2に基づく「運航業務の管理の受委託」の活用を促す。国内で活用例のないウェットリースについても、委託者と受託者の責任を明確にし、受託者の運航・整備規程や業務体制について、必ずしも委託者と同一のものを求めない考え方を示した。

運賃監視とATR品質改善

 運賃面では、頻繁なセール販売を中長期的には適当とは言えないとした。セール販売自体はルール上問題はなく、新規需要を掘り起こすものであれば有効だとする一方、頻繁に実施すると利用者の期待運賃を下げ、コストが上昇局面にある国内航空では持続可能性の観点から好ましくないとした。実勢運賃のモニタリングも盛り込み、協調や協業が進む路線を中心に運賃水準を把握する。

離島路線を担うJACのATR42=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 地域航空では、仏ATR製ターボプロップ機の運航品質改善も課題に挙げた。報告書は、地域航空を担う同機を運用する航空会社は機体メーカーとの交渉力が十分ではないとして、EASアライアンス協議会の枠組みに加え、航空局が技術面の支援も含めて積極的に関与し、官民連携で改善に取り組むべきだとした。

 需要獲得策では、インバウンド旅客の国内線利用促進や地域航空会社への伴走支援を盛り込んだ。リージョナル機やターボプロップ機の積極活用、曜日運航や期間減便、地域航空への乗継需要喚起、長距離国内路線の就航に制限がある空港ルールの見直し、定時性向上なども挙げた。国交省は、有識者会議の枠組みを活用し、今後の施策の進捗や競争環境、運賃水準などを定期的に確認する。

関連リンク
国土交通省

5/22の報告書案
中堅航空4社への出資規制廃止 20%超で羽田発着枠回収=国交省有識者会議(26年5月22日)

有識者会議
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