エアライン, 空港 — 2018年4月1日 13:40 JST

神戸空港が民営化 関空、伊丹と一体運営

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 神戸空港の運営が民営化された4月1日、運営会社の関西エアポート神戸が記念式典を開いた。神戸の民営化で、関西空港と伊丹空港を合わせた関西3空港の一体運営が始まった。

神戸空港の民営化式典で利用者に記念品を配る関西エアポート神戸の山谷社長(左)=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
22年度327万人
大きな変化、臨機応変に

22年度327万人

 神戸空港の民営化は、市に所有権を残したまま運営権を売却する「コンセッション方式」で実施。空港用地と施設は、市が継続して所有する。民営化後は、滑走路の運営と維持・管理の航空系事業と、ターミナルビル運営と維持・管理の非航空系事業を、関西エアポート神戸が担う。事業期間は2060年3月31日までの42年間で、合意した場合は最長で10年延長し、2070年3月31日までの52年間運営できる。

神戸空港の民営化式典で拳を上げる関西エアポート神戸の山谷社長(中央左)と神戸市の久本市長(同右)、スカイマークの戸田健太郎神戸空港支店長(右から2人目)、ANAの林和男神戸空港所長(左から2人目)と両社の地上係員=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

神戸空港の民営化式典であいさつする神戸市の久本市長(左)=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 関西エアポート神戸は、神戸空港を運営する特別目的会社(SPC)で、関空と伊丹を運営している関西エアポートが100%出資。社長には関西エアポートの山谷佳之社長、副社長にはエマヌエル・ムノント副社長がそれぞれ就く。関西エアポートの株式は、オリックスとヴァンシが40%ずつ、関西を拠点とする企業・金融機関30社が残り20%を保有している。

 同社が市に提出した事業計画によると、2018年度の投資総額は3億円。営業収益は25億8800万円、営業費用は23億8000万円、営業利益は2億800万円、経常利益は7100万円、純利益は4900万円を計画している。

 2022年度までの計画値は、旅客数のみ公表。2018年度が313万人、19年度が321万人(18年度比2.6%増)、20年度が323万人(同3.2%増)、21年度が325万人(同3.8%増)、22年度が327万人(同4.5%増)を見込む。

大きな変化、臨機応変に

神戸空港の民営化式典であいさつする関西エアポート神戸の山谷社長=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 1日の式典で、神戸市の久本喜造市長は、関西3空港の一体運営について「交流人口拡大や、関西全体の発展につながる」と評価。「空港へのアクセスの充実が必要。今日から三宮などへの直行バスの運行が始まるが、ポートライナーの8両化や道路網の整備もしっかり取り組みたい」(久本市長)と語った。

 関西エアポート神戸の山谷社長は、「地域の協力が欠かせない」と3空港一体運営に対する理解を求めた。

 民営化による利用者に対する具体的なメリットについて、山谷社長は「関空・伊丹が2年たって、ちょっとずつ変わってきたと見ていただければありがたい。(神戸が)今日からすぐに変わるのは難しいが、3年、5年、10年とたって、変わったと評価いただけたらありがたい。今は変化が激しいが、大きな変化に臨機応変に対応していきたい」と述べるにとどめた。

 運用時間の拡大など、航空会社に対するメリットについては、「エアラインがあって空港に利用者が来ていただけるので、使いやすい空港であることが大前提。一方で、騒音など空港が環境に影響を与えるものがあるが、低騒音機の開発も進んでおり、新たに社会が求める環境基準を頭に置いて、徐々に進めていきたい」と語った。

*写真は7枚。

神戸空港の民営化式典で記念撮影に応じる関西エアポート神戸の山谷社長(中央左)と神戸市の久本市長(同右)、スカイマークの戸田健太郎神戸空港支店長(右から2人目)、ANAの林和男神戸空港所長(左から2人目)と両社の地上係員=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

神戸空港を羽田に次ぐ拠点とするスカイマーク=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

神戸空港のエントランス=18年4月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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