MRJ, エアライン, 機体 — 2018年1月26日 17:27 JST

MRJ、初のキャンセル イースタン航空分、確定発注213機に

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 三菱重工業(7011)の子会社三菱航空機が開発中のリージョナルジェット機「MRJ」に、初のキャンセルが発生した。米国のイースタン航空と結んでいた最大40機の契約がキャンセルとなり、MRJの確定発注は20機減の213機となった。

ファンボロー航空ショーでイースタン航空のウェーゲル社長とともにMRJの模型を手にする三菱航空機の川井社長(肩書きはいずれも当時)=14年7月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 イースタン航空は、前身のイースタン航空(EAL/EA)の商標などを2009年に取得した経営陣が、2012年に新生イースタン航空として設立。マイアミ国際空港を拠点に中南米やカリブへの就航を計画し、MRJについては、2014年7月に英国で開かれたファンボロー航空ショーでMoU(覚書)を交わし、同年9月に確定発注20機、購入権20機の最大40機の購入契約を結んだ。

 ところが、イースタンが経営危機に陥り、2017年に米スウィフト航空へ一部事業を譲渡。イースタンはFAA(米国連邦航空局)に事業免許を返上したため、MRJの契約が宙に浮いた状態になっていた。三菱重工は、秘密保持契約に基づき契約内容を明らかにしていないが、MRJのキャンセルは今年に入り正式合意したとみられる。

 今回イースタンの発注分40機がキャンセルとなったことで、MRJの受注機数は、6社から確定発注213機、オプション170機、購入権4機の計387機となった。日本の航空会社では、ローンチカスタマーの全日本空輸(ANA/NH)が25機(確定15機、オプション10機)、日本航空(JAL/JL、9201)が32機(確定32機)発注している。

 このほか、スウェーデンのリース会社ロックトンと、MRJを最大20機(確定10機、オプション10機)発注する契約締結に向け、2016年7月に開かれたファンボロー航空ショーで、基本合意(LOI)に至っている。

 MRJの納期は当初2013年だったが、5度の延期を重ね、現在公表されているのは2020年半ばとなっている。

関連リンク
三菱重工業
三菱航空機

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