エアライン, 機体, 解説・コラム — 2016年8月25日 09:05 JST

ジェットスター・ジャパン、初の通期黒字 中国就航へ

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 ジェットスター・ジャパン(JJP/GK)は8月24日、2016年6月期通期決算(15年7月1日から16年6月30日)で純損益が6300万円の黒字(前年は75億7100万円の赤字)になったと発表した。2012年7月3日の就航以来初となる、通期黒字を達成した。これにより、4社ある国内LCCは、同社とピーチ・アビエーション(APJ/MM)、バニラエア(VNL/JW)の3社が黒字化を果たした。

燃油費下落と機材稼働率向上

16年6月期通期決算を発表するジェットスター・ジャパンのターナーCEO=16年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 売上高は前年比24%増の522億3800万円、営業損益は13億500万円(同79億4500万円の赤字)、経常損益は1億5300万円の黒字(同75億2900万円の赤字)。営業益と経常益、最終益すべてが黒字となった。計画より1年前倒しの達成で、燃油費の下落が奏功した。

 現在は予備機1機を含む20機のエアバスA320型機で、国内線16路線と国際線8路線の計24路線を運航。2014年6月12日に、6度の延期を経て関西空港を第2拠点化したことに伴い、夜間駐機や整備が可能となり、機材繰りや路線計画に柔軟性を持たせられるようになった。

 2016年6月期に開設した新路線は、成田と関西、中部から2015年11月に台北、2016年にマニラの計6路線。これに伴い、旅客数は前年比15%増の521万人、座席供給量を示すASK(有効座席キロ)は22%増の63億4200万座席キロ、有償旅客を運んだ距離を示すRPK(有償旅客キロ)は34%増の52億6000万人キロとなり、平均搭乗率は7ポイント上昇し83%になった。

 ジェリー・ターナーCEO(最高経営責任者)は、黒字化の要因について「一番の要素は、機材を有効に活用できたこと。かなりの経費を機材が占めており、大幅に稼働率をあげることができた」と説明した。

 「社内の改革にも取り組んでおり、燃油費の下落に頼っていては黒字化できなかった」(ターナーCEO)として、構造改革によるコスト削減も寄与したと付け加えた。

 一方、累積損失の解消時期について、CFOの鈴木明典財務本部長は「いつまでに解消するという目標はない。ようやく黒字になったので、まずは来年度も黒字を維持していく」と述べるに留めた。

中国本土は上海・広州有力

事業計画を説明するジェットスター・ジャパンの片岡会長=16年8月24日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ジェットスター・ジャパンは、24機のA320をリースで受領済み。自社で運航する20機を除いた残り4機は、他社へリース(サブリース)している。2017年には4機のうち1機を自社に戻し、中国本土への就航に備える。2019年には28機体制とし、国際線を中心に路線拡大を目指す。

 中国の航空当局であるCAAC(中国民用航空局)は7月、ジェットスター・ジャパンに対し、成田と関西から上海と中国第3の都市広州への就航を許可していることから、この2都市が有力とみられる。

 片岡優会長は、「中国や香港からの主な訪日客は富裕層だったが、訪日需要は強いものがあると思う」と述べ、中間所得者層の取り込みなど、今後も中国路線の需要は見込めるとの見方を示した。

 また、22機目以降の機材調達について、田中正和事業・戦略本部長は「どのように調達するか検討中。購入やリースといったすべての選択肢を考えている」と語った。

ジェットスター・ジャパンの運航路線
国内線16路線(成田9、関西3、中部4)
成田-札幌、関西、福岡、那覇、鹿児島、大分、熊本、松山、高松
関西-札幌、福岡、那覇
中部-札幌、福岡、那覇、鹿児島

国際線8路線(成田3、関西3、中部2)
成田-台北、香港、マニラ
関西-台北、香港、マニラ
中部-台北、マニラ

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ジェットスター・ジャパン

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