エアライン, 官公庁, 空港, 解説・コラム — 2012年10月2日 15:45 JST

羽田国内線発着枠、新規4社への優先配分廃止へ 後発「配慮すべき」

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 国土交通省は10月1日、2013年3月から増枠する羽田空港の国内線発着枠(スロット)1日25枠の配分基準を議論する3回目の有識者会議「羽田発着枠配分基準検討小委員会」を開いた。スカイマーク(SKY、9204)など新規航空会社4社への優先配分は原則として行わない方向で議論がまとまった。

新規航空会社

羽田空港の国内線発着枠配分を議論する会議に出席する有識者=10月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 国交省航空局(JCAB)は、「新規航空会社」を保有機材が12機以下の会社と位置づけている。新規4社の機材数は、13年3月末時点でSKYが29機、エア・ドゥ(ADO)とスカイネットアジア航空(ソラシド エア、SNJ)が各12機、スターフライヤー(SFJ、9206)が9機になると見込まれている。

 各委員からは、従来の新規4社へ優先配分してきた航空市場の状況から、現在は競争促進など変化が生じているとの指摘があった。竹内健蔵委員長(東京女子大学教授)は議論の後に「新規だから、という時期ではないという点では(議論は)一致をみたのではないか」と見解を述べた。

 一方、新規4社への優先配分は行わないものの、12機に満たない後発会社には配慮し、健全に育成していくべきとの意見が出た。また、新規4社への優先配分を廃止する場合、おおむね乗客が40万人以下の路線に適用されることの多い「3便ルール」や10万人以下の路線に対する「1便ルール」も、撤廃すべきではとの意見もあった。

 また、新規4社の扱いを、日本航空(JAL、9201)と全日本空輸(ANA、9202)の大手2社と同列に扱うのは好ましくないとの意見が出た。

JAL

 破たん事業者としてのJALの扱いについては、「政府の要請で本来ならば不要と思われる空港をつなぐために、その負担が足を引っ張ったのも事実ではないか」、「破綻は発着枠とは別の問題」との意見が出た一方、「破綻事業者に対する評価は何らかの形で入れるべき」とする委員の声もあり、見解が分かれた。

 また、「前回のヒアリングでANAから厳しい指摘があり、マスコミにおもしろおかしく伝えられている」として、一部全国紙やテレビ局などの報道姿勢に対して委員が苦言を呈する一幕もあった。

安全情報

 安全面については、13年3月に採択予定の国際民間航空機関(ICAO)の安全に関する情報の取り扱いについての勧告に基づき、安全情報そのものを安全以外に使うべきではないとの意見が出た。

 JCABでは安全性向上に向けて、航空会社にインセンティブが働く指標作りを進めており、10月末に開かれる次回の会議で指標案が示される予定。

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