エアライン, 空港, 解説・コラム — 2016年4月20日 17:00 JST

スクート、成田-バンコク開設へ タイ当局問題の余波

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 シンガポール航空(SIA/SQ)系LCCのスクート(SCO/TZ)は、成田からバンコク(ドンムアン)経由のシンガポール線開設を目指す。

成田からバンコクへ乗り入れる経緯を説明するスクートのウィルソンCEO=16年4月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スクートはタイ国際航空(THA/TG)系LCCのノックエア(NOK/DD)と合弁で、ノックスクート・エアライン(NCT/XW)を2014年に設立。2015年3月には、成田-バンコク(ドンムアン)線の定期便就航を予定していた。

 ところが、同時期に国連の専門機関ICAO(国際民間航空機関)が、タイの航空当局に対して「重大な安全上の懸念(SSC)」を指摘。このあおりを受け、ノックスクートを含むタイ国籍の全航空会社は、ICAO加盟国への定期便の新規就航などが、原則として出来なくなった。

 タイ当局に対するICAOのSSC指定解除は、現時点で見通しが立っていない。このため、ノックスクートはタイからの訪日客をチャーター便で運んでいる。シンガポール国籍のスクートがバンコク経由の成田路線を開設するのは、成田への定期便を開設できないノックスクートの役割をグループで補う狙いがある。

成田への定期便就航が延期されているノックスクート=15年3月 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 スクートは2012年10月、最初の日本路線となるシンガポール-成田線を台北経由、1日1往復で開設。2015年7月からはシンガポール-関西線をバンコク(ドンムアン)経由と高雄経由で、それぞれ週3往復ずつ運航している。10月1日からシンガポール-札幌線を台北(桃園)経由で開設し、週3往復運航する。

 スクートのキャンベル・ウィルソンCEO(最高経営責任者)は4月19日、「ICAOによるタイ当局への指摘は、欧州当局が査察した際、大幅な改善が見られた。われわれも、ドンムアン空港については安全性が確保されたと確認している」と都内で説明し、就航に問題はないとの見方を示した。

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