エアライン, 官公庁 — 2014年6月26日 09:50 JST

アシアナ航空の着陸失敗事故、過度な自動操縦依存に要因 米運輸安全委

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 米国家運輸安全委員会(NTSB)は現地時間6月24日、アシアナ航空(AAR)のソウル発サンフランシスコ行きOZ214便(ボーイング777-200ER型機、登録番号HL7742)が2013年7月6日に起こした着陸失敗事故の公聴会で、運航乗務員が自動操縦を過度に頼ったことなどを事故原因に挙げた。

サンフランシスコ空港で大破したアシアナ航空の777(NTSB提供)

 OZ214便の事故では、乗客291人のうち中国人3人が死亡し、乗客40人と運航乗務員1人、客室乗務員8人が重傷を負った。残り248人の乗客と運航乗務員3人、客室乗務員4人は軽傷かけがをしなかった。

 事故機は2006年3月に受領した機体で、座席配列は295席仕様(ビジネス24席、エコノミー271席)。エンジンは米プラット・アンド・ホイットニー社製PW4090。米国で起きた民間機事故としては2009年以来で、777では1995年の就航以来、初の死亡事故となった。

 NTSBのクリストファー・ハート副委員長は、「運航乗務員は過度に自動操縦装置に頼っていた。たとえ高度に自動化された機体でも、人間が上司でなければならない」と語った。

 NTSBの発表によると、同便の機長はエアバスA320型機から777への機種移行訓練中だった。機長がサンフランシスコ空港への着陸態勢に入った段階で自動操縦装置を切ったことで、速度を制御するオートスロットルも働かなくなった。

 その後、機体が所定のグライドパス(着陸進入経路)より下がったため、運航乗務員はゴーアラウンド(着陸復行)を試みたが、機体の高度が100フィート(約30メートル)未満だったため、着陸に失敗した。

 NTSBでは、AARに対して手動操縦の機会を増やすことなどを提言し、ボーイングには777の自動操縦装置の証明設計審査とトレーニング強化を求めた。

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National Transportation Safety Board
アシアナ航空

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