エアライン, 企業, 空港 — 2025年8月26日 12:15 JST

JAL、航空機廃材×枯れ盆栽のアート展示 成田空港で、部品と同じ樹齢融合

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 日本航空(JAL/JL、9201)は8月25日、航空機の廃棄部品と枯れた盆栽を組み合わせた「アップサイクルアート」の展示を、成田空港第2ターミナルで始めた。グループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)と、枯れた盆栽をアート作品に再生する「RE BONSAI」を手掛けるTOUFU(港区)が共同制作したもので、役目を終えた機体部品を鉢に収めた。盆栽と異なり、水やりなどの手入れは不要だという。

成田空港のJALスペシャルアシスタンスカウンターに展示された航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品を手にするJALECの石坂さん(左)とスタッフ=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 使用された航空機の廃棄部品は、すべて実際の機体から取り外されたもの。ボーイング777-300ER型機、767-300ER、737-800の部品で、使用期間が8年から20年の航空機部品と、ほぼ同じ樹齢の枯れた盆栽を選び、同じ時代を生きた部品と盆栽を融合させたアート作品を作り上げた。

 今回は7つの作品を制作。777の部品は、登録記号JA738Jから取り外された「ローリミットバルブ」とJA732Jの「タービンバイパスバルブ」、767はJA617Jの「ファンエアーモジュレーティングバルブ」とJA657Jの「ボールスクリューアクチュエーター」、737はJA332Jの「トリムエアチェックバルブ」が使われた。

 寿命で枯れた盆栽は、ヒノキ科の「真柏(シンパク)」を主に使い、染色やドライ化した別の葉を加えて制作。TOUFUのクリエイティブディレクター鈴木良夫さんによると、航空機部品を使った作品制作は初めてで、7つの作品全体で2カ月ほどかかったという。

成田空港のJALスペシャルアシスタンスカウンターに展示された航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品を手にするJALECの前橋さん(右)と石坂さん(左)ら=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

最初に制作した航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品を手にする鈴木さん(左)とJALECの前橋さん(中央)、部品を手にする石坂さん=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 企画したJALECの前橋誠さんは、普段整備している部品を見ながら「花瓶に似ているな」と思ったことが、アップサイクルアートを制作したいと考えたきっかけだったと話す。JALECはコロナの影響が出始めたころから、航空機部品のアップサイクルを手掛けており、盆栽にたどり着いたのは今年だったという。

 「10年ほど飛んで降りてくる部品を見ると、一緒に成長してきた愛着があり、ただ廃棄するのはかわいそう。部品もがんばってます」(前橋さん)と、アップサイクルによるアート作品を提案した思いを語った。今回の展示をきっかけに、航空機部品に親しみを感じてほしいという。

枯れた盆栽とのアート作品に使ったものと同じ航空機の廃棄部品=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALECでアップサイクル企画を取りまとめている石坂健さんは「最初は鉢の形をしていないとダメなのかと思っていましたが、鈴木さんから『幾何学的なもののほうがカッコいい』と言われました」と、どのような部品が作品に合うかを鈴木さんと決めていったという。JALECがコロナの影響で2020年以降、アップサイクル企画を手掛けて時間が経過したこともあり、社内からはさまざまなアイデアが寄せられているという。

 鈴木さんが最初の作品を作った際には、浮遊感をイメージした。しかし、「これではJALだとわからないと思い、いまの形になりました」と、白に赤や黒を合わせた台座にJALのロゴを入れたデザインに落ち着いたという。

鈴木さんが最初に制作した航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 RE BONSAIを鈴木さんが始めた理由のひとつが、生きている盆栽は植物であるため、訪日客が盆栽に興味を示しても、検疫で日本からの持ち出しが難しい点だった。RE BONSAIは枯れた盆栽をアップサイクルしたものなので「アート作品として持ち帰れます」と、外国人に日本の古美術などと同じく、盆栽の良さを知って欲しいという。

 展示は第2ターミナル3階のJALスペシャルアシスタンスカウンターに3作品と、国際線ラウンジレセプションに4作品で、期間は8月25日から12月31日までを予定。JALECによると、現時点で販売は予定していないという。

成田空港のJALスペシャルアシスタンスカウンターに展示された航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品を手にするスタッフ=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のJALスペシャルアシスタンスカウンターに展示された航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のJALスペシャルアシスタンスカウンターに展示された航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

成田空港のJALスペシャルアシスタンスカウンターに展示された航空機廃材と枯れた盆栽のアップサイクルアート作品=25年8月25日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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