エアライン, ボーイング, 機体 — 2022年11月9日 16:30 JST

JAL、退役777国内で解体 取り下ろし部材に“ストーリー性”、ガチャなど新たな商品に

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 日本航空(JAL/JL、9201)グループは、2020年度で全機退役したボーイング777型機の国内線仕様機について、機体をリサイクルすることにより廃棄物の削減を進めている。多くの廃材を再活用し、一部は別の製品にアップサイクル(作り替え)している。11月9日に羽田空港にある格納庫で部品の取り下ろしを報道関係者へ公開し、取り組みを説明した。

エンジンを取り外し解体を待つJALの777-200 JA772J=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

—記事の概要—
2機目の国内解体
ボルトなどはガチャ販売
アップサイクル品に「ストーリー性」

2機目の国内解体

 取り下ろし作業は、グループの整備会社JALエンジニアリング(JALEC)が進める。今回解体の対象となったのは2021年3月に退役した777-200(登録記号JA772J)で、航空他社などで再利用できる部品はすでに取り下ろし済み。11月9日にエンジンを取り外し、羽田空港にある解体用の格納庫へ移動後に解体作業を進める。解体作業は三豊工業(富山市)が手掛ける。解体にはおよそ1カ月かかる見込みで、現状でのリサイクル率は96%以上となる見通し。

 JA772Jは、JALが国内で解体する2機目となる。1機目は777-300(元JA8945)で、今年5月に国土交通省航空局(JCAB)へ抹消登録が提出された。

 JALは国内線仕様の777を2020年度ですべて退役済み。当初は2021年度の全機退役を計画していたが、当時は米プラット&ホイットニー(PW)製エンジンPW4000シリーズを搭載する777は運航停止が続き、運航再開が未確定だったことから退役を前倒しした。後継機はエアバスA350型機で、今年4月に受領した16号機(JA16XJ)で国内線への投入は一段落している(関連記事)。

JALの777-200 JA772Jからエンジンを取り外すJALECの整備士=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

エンジンを取り外し解体を待つJALの777-200 JA772J=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの777-200 JA772Jの機内でファーストクラス座席を取り外すJALECの整備士=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの777-200 JA772Jの機内でファーストクラス座席を搬出するJALECの整備士=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

座席の搬出を待つJALの777-200 JA772Jファーストクラス=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

エンジンを取り外し解体を待つJALの777-200 JA772J=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ボルトなどはガチャ販売

 アップサイクル品の販売は、2021年10月からスタート。ライフベストは、ポーチやサコッシュに作り替えるほか、シートカバーをカバンやペンケース、バゲージタグなどにアップサイクルする。

 また、廃棄数が多いボルトなどの小型廃材は、ガチャガチャと回すタイプのカプセル玩具自動販売機で販売。「整備のお仕事ガチャ」という名称で今年1月から8月までに4回販売し、合計で2000個あまりを用意したが完売となった。JALによると、今後も定期的な販売を考えているという。

 これまでは小型部品のアップサイクルが多かったが、今年4月からはシートやカーペットなど大型部材の再利用もスタート。東京ベイ東急ホテル(千葉・浦安市)の客室に、シートや窓が付いたサイドウォールパネル、機内食カートを設置し、コンセプトルーム「ウイングルーム」を提供している(関連記事)。

廃材を再利用したJALの「整備のお仕事ガチャ」=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

東京ベイ東急ホテルで提供を開始するJALのコンセプトルーム「ウイングルーム」=22年4月27日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

アップサイクル品に「ストーリー性」

 JALECで機体リサイクルを担当する事業推進部の亀田博文さんは、国内でのリサイクルについて、海外へフェリー(回航)する必要がなく、資源として再活用できることをメリットに挙げた。リサイクルは大きく3つに分かれ、別の機体で航空機部品に再利用するもの、別の製品にアップサイクルするもの、金属やプラスチック、CFRP(炭素繊維強化複合材)など素材ごとに再資源化するものがある、と説明した。

 今回の企画を担当したJALEC部品サービスセンター企画グループの矢田貝弦さんは、300万点の部品で構成する機体から、運航に適さなくなった部品を取り下ろすと説明。「捨てない取り組みを浸透させたい」とした。また、品質が良く利用価値のある部品をアップサイクルし、対象機から部材を取り下ろすことで、稼働していた部品のストーリー性などが加わるという。

 JALECは整備の経験では長けているものの、商品の製作に参入してからは日が浅い。矢田貝さんは「商品製作は素人。模索した日々が続いた」と開始当初を振り返り、「部品をポーチにするだけでは喜んでもらえない。航空機部品が使いやすい日用品になることが重要」ということに気付いたという。JALECは今後も、航空会社ならではの“付加価値”のあるアップサイクル品を生み出していく。

シートレザーを再利用したJALのアップサイクル製品=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

ライフベストを再利用したJALのアップサイクル製品=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

廃材を再利用したJALの「整備のお仕事ガチャ」=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

廃材を再利用したJALの「整備のお仕事ガチャ」=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

JALの退役済み777-300 JA8945から取り下ろした部材=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

エンジンを取り外し解体を待つJALの777-200 JA772J=22年11月9日 PHOTO: Yusuke KOHASE/Aviation Wire

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