エアライン, ボーイング, 機体, 空港, 解説・コラム — 2025年6月13日 09:40 JST

787、14年で初の墜落・死亡事故 エア・インディアAI171便、乗客1人生存

By
  • 共有する:
  • Print This Post

 インドのアーメダバードで現地時間6月12日に起きたエア・インディア(AIC/AI)のAI171便(ボーイング787-8型機、登録記号VT-ANB)墜落事故は、14年前の2011年に就航した787にとって、初の墜落・死亡事故となった。乗客230人と乗員12人(パイロット2人、客室乗務員10人)の計242人が乗っていたが、エア・インディアは13日、乗客1人を除き死亡が確認されたと発表した。

離陸直後に墜落したエア・インディアのアーメダバード発ロンドン・ガトウィック行きAI171便の787-8(CISF提供)

 事故機の座席数は2クラス256席(ビジネス18席、238席)。英国のデータ分析会社「シリウム(Cirium)」によると、2014年1月28日に引き渡され、飛行時間は4万1000時間以上、離着陸回数は8000回近くで、このうち過去1年間で約700回の離着陸があったといい、同程度の就航年数では平均的な値だという。エンジンはGE製GEnxを搭載していた。

 ボーイングの受注履歴によると、5月31日時点の納入機数は1189機、受注残は948機となっている。このうち、エア・インディアが運航している787は、標準型の787-8が事故機も含めると27機、長胴型の787-9が7機の計34機。同社の受注残は20機で、すべて787-9となっている。

 AI171便は12日午後1時38分(日本時間同日午後5時8分)にアーメダバードのサルダール・ヴァッラブバーイー・パテール国際空港を出発。242人のうち、国籍は169人がインド、53人が英国、7人がポルトガル、1人がカナダだった。空港の滑走路は1本(RWY23/05)で、AI171便はRWY23から離陸した。

 墜落地点は空港近くのメグニナガル(Meghaninagar)で、南南西に位置し、滑走路の延長線上にある。

エア・インディアAI171便の墜落事故現場(CISF提供)

墜落したアーメダバード発ロンドン・ガトウィック行きAI171便の航跡(Flightradar24から。墜落地点を示すものではありません。実際の位置とは誤差がある場合があります)

 航空機の位置情報を提供するウェブサイト「フライトレーダー24(Flightradar24)」によると、墜落した事故機は、12日の1便目はデリー発アーメダバード行きAI423便として運航。デリーを午前9時48分に出発し、アーメダバードには午前11時17分に到着していた。AI171便は2便目で、同機でガトウィックから運航予定だったインド西海岸ゴアへ向かう3便目のAI146便は欠航となった。

 また、事故機は6月9日発のデリー発羽田行きAI358便と、折り返しとなる羽田10日発のデリー行きAI357便に投入されていた。

 787を製造するボーイングは「エア・インディアと連絡を取っており、AI171便に関して支援する用意がある。乗客、乗員、初動対応にあたった関係者を含め、すべての影響を受けた方々に心よりお見舞い申し上げる」とコメント。製造国である米国のNTSB(米国家運輸安全委員会)は「インドのAAIB(航空事故調査局)を支援するため、米国の調査団を現地へ派遣する予定だ」との声明を発表した。

エア・インディアAI171便の墜落事故現場(CISF提供)

エア・インディアAI171便の墜落事故現場(CISF提供)

関連リンク
Air India

エア・インディア機が離陸後に墜落炎上 アーメダバード発AI171便、乗客乗員242人(25年6月12日)
エア・インディア、羽田-デリー3/31就航 成田から移管、週4往復(25年3月3日)
ANA、エア・インディアとコードシェア 5/23から(24年4月23日)