エアバスは現地時間5月20日、単通路機では世界最長となる最大11時間飛行できるA321XLRのプラット&ホイットニー(PW)製エンジン「PW1100G-JM」搭載機の引き渡しを開始したと発表した。初号機となったA321XLR(登録記号G-XLRA)はハンガリーLCCのウィズエアー(WZZ/W6)に引き渡し、グループの英ウィズエアーUK(WUK/W9)が運航する。A321XLRは、CFMインターナショナル製「LEAP-1A」エンジン搭載機をすでに引き渡しを始めており、PWエンジン仕様の納入開始により2種類のエンジン機が出そろった。

ウィズエアーへ引き渡したA321XLRのPWエンジン搭載初号機(エアバス提供)
ウィズエアーのA321XLRは1クラス239席。今回の初号機を含め、47機を導入し、いずれもPW製エンジンを搭載する。欧州のLCCでA321XLRを運航するのは初めて。
A321XLRはA321neoの航続距離を延長した超長距離型で、2019年6月にローンチ。XLR(Xtra Long Range)は「超長距離」を意味し、燃料タンクを増設することで、単通路機では世界最長となる航続距離4700海里(約8704キロ)を実現し、最大11時間の飛行が可能となる。エンジンはPW製PW1100G-JMかCFM製LEAP-1Aを選択できる。
PW製エンジンを搭載した機体は今年2月に、EASA(欧州航空安全庁)から型式証明を取得した。CFM機が昨年2024年に型式証明を取得し、イベリア航空(IBE/IB)に世界初納入された。これまでにA321XLRは500機以上の受注を獲得しており、このうちPW機は200機以上で13顧客が選択している。
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