ボーイングは現地時間5月17日(日本時間18日)、空中給油・輸送機KC-46A「ペガサス」2機を、米カリフォルニア州のトラビス空軍基地へ納入したと明らかにした。米空軍への引き渡しは計91機となった。

トラビス空軍基地へ向かうKC-46A(ボーイング提供)
今回引き渡された2機は、同基地向けの10号機と11号機にあたり、第60航空機動航空団が運用する見通し。
KC-46Aは、日本が4機導入したKC-767の米軍仕様「KC-767 Advanced Tanker(KC-767AT)」を発展させたもの。767-200ERの胴体、767-300F貨物機の主翼・着陸装置・貨物用ドア・床、767-400ERのコックピットとフラップを組み合わせ、コックピットのディスプレイは787と同様15インチのものを装備した。
給油方式は、米空軍機が採用するフライングブーム方式のほか、米海軍・海兵隊機のプローブ・アンド・ドローグ方式の2形式に対応。ブームはフライ・バイ・ワイヤ方式の最新型で、給油オペレーター席には24インチの高解像度3Dディスプレイが設置された。また、前部胴体上部には自らブーム方式で給油を受けられる給油口を備える。
ワシントン州シアトル近郊のエバレット工場で製造しており、ボーイングは米空軍向けに179機の製造を計画。空自の空中給油機はKC-767とKC-46Aを4機ずつ計8機を保有しており、発注済み2機のKC-46Aを合わせると2機種10機となる。これに加え、米国政府が最大9機のKC-46Aに対する売却を承認済み。一方で、RVS(Remote Vision System:遠隔視認システム)と呼ばれる空中給油時の遠隔操作に使うシステムをはじめ、不具合が複数報告されており、改修が課題になっている。

トラビス空軍基地へ向かうKC-46A(ボーイング提供)
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