企業, 機体 — 2023年6月20日 10:00 JST

空飛ぶクルマSkyDrive、スズキと製造合意 商用機は3人乗りに

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 日本で「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)や、物流ドローンを開発するSkyDrive(スカイドライブ)は現地時間6月19日、機体製造についてスズキ(7269)と基本合意したと、同日開幕したパリ航空ショーで発表した。また、開発中の商用機SD-05を社名と同じ「SKYDRIVE」と命名し、最大搭乗者数を3人に増やすなど一部仕様を変更した。

スズキとの基本合意をパリ航空ショーで発表するSkyDriveの福澤知浩CEO=23年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 eVTOLを製造する100%出資の子会社をSkyDrive社が設立し、スズキグループが静岡県内に持つ工場を活用して2024年春ごろの製造開始を目指す。スズキは、製造子会社の人材確保など製造開始に向けた準備も協力するといい、具体的な条件は今後協議して決めるという。

 SkyDrive社は「空を、走ろう。」をビジョンに掲げており、より多くの人に知ってもらうため、自社のビジョンを表すSKYDRIVEを製品名にした。

SD-05をSKYDRIVEと命名し一部仕様変更をパリ航空ショーで発表するSkyDriveの福澤知浩CEO=23年6月19日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 SKYDRIVEと命名されたSD-05は、2025年開催の大阪・関西万博で運航を目指している機体。19日に発表した仕様変更で、これまではパイロット1人と乗客1人の計2人乗りだったが、パイロット1人と乗客2人の最大3人乗りに変更した。独自開発したドーム型ローターフレームとローターの曲面配置により、機体をコンパクトに保ちつつ、3人乗りが可能になったという。

 ローターフレームについては、特許申請が完了。これに合わせて仕様変更を発表した。都市部の渋滞解消や過疎地での交通手段の確保、救急医療などのニーズに応えることを目指しており、収益性が向上する定員増は運航会社やエンドユーザーから要望があった。

 駆動方式は従来と同じ12基のモーターとローターを使用。最大離陸重量は旧仕様から300kg引き上げられて1400kg、航続距離は5-10kmから約15kmに延びた。最大巡航速度は100km/h(対気速度)で変更はない。ローターを含めた機体サイズは全長13m(旧仕様9.4m)×全幅13m(9.4m)×3m(2.7m)とやや大きくなる。

 2025年に耐空証明を取得し、2026年に国土交通省航空局(JCAB)から機体の安全性を証明する型式証明(TC)取得と量産、引き渡し開始を目指す。米国での事業開始に向け、FAA(米国連邦航空局)のTC取得も目指している。

 SkyDriveは2018年7月設立。有人試験機SD-03が2020年8月25日に公開有人飛行試験に成功した。大阪万博では、運航事業者4グループの一つに選ばれている。

搭乗者数が最大3人に増えたSKYDRIVE(SkyDrive提供)

搭乗者数が最大3人に増えたSKYDRIVE(SkyDrive提供)

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