エアライン, 企業, 官公庁 — 2023年2月21日 23:59 JST

大阪万博、空飛ぶクルマの事業者決定 ANA・JAL・丸紅・SkyDriveが運航

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 公益社団法人2025年日本国際博覧会協会は2月21日、大阪・関西万博で有人運航をめざす「空飛ぶクルマ」と呼ばれるeVTOL(電動垂直離着陸機)について、運航事業の参加事業者4グループと会場内のeVTOL用ポート(発着場)運営の協賛企業を発表した。運航事業はANAホールディングス(ANAHD、9202)と米Joby Aviation(ジョビー・アビエーション)連合、日本航空(JAL/JL、9201)、丸紅(8002)、SkyDrive(スカイドライブ)が選ばれ、ポート運営の協賛はオリックス(8591)に決まった。

2025年の大阪・関西万博で空飛ぶクルマの運航事業者に選定されたJALの赤坂社長(前列左から2人目)、ANAホールディングスの芝田社長(同右から2人目)、SkyDriveの福澤CEO(同右)ら=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
会場と関空・大阪都心部結ぶ
ANA・JAL・丸紅・SkyDriveが運航

会場と関空・大阪都心部結ぶ

 空飛ぶクルマは、万博会場内のほか、関西空港と会場近くの湾岸エリア、大阪都心部の会場外3地点を合わせた計4地点にポートを設け、会場内と会場外の2地点間の運航を計画している。協会によると、運航頻度やポートの具体的な設置場所などの詳細は、自治体や参加企業と今後協議していくという。

 運航する機体は小型の航空機であるため、国が安全性を証明する「型式証明(TC)」を取得する必要。TCのほか、ポートの設置基準などさまざまな法整備が必要になる。監督する国土交通省航空局(JCAB)の久保田雅晴局長は「来年3月末までに、すべての制度整備を完了したい。万博後も次世代のモビリティとして、日本に根付くように環境を整備したい」と語った。

ANA・JAL・丸紅・SkyDriveが運航

 運航事業の参加事業者は12グループが名乗りを挙げ、TC取得に向けた申請をはじめとした機体の実現性などから、4グループが選ばれた。

ANAホールディングスとJobyが運航するS-4のイメージ=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ANAホールディングスの芝田社長=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 ANAHDの芝田浩二社長は「1970年の大阪万博では中学1年で、アポロ11号が持ち帰った月の石を自分の目で見て、感動したことを鮮明に覚えている。2025年に日本の子供たちへ夢にあふれる感動を届けたい」と語った。

 ANAHDが組むJobyの機体「S-4」はパイロット1人と乗客4人の計5人乗りで、2025年に米国で商業運航を開始する見通し。最高時速320キロ、航続距離は最大240キロで、静粛性の高さが特徴となる。

 JALの赤坂祐二社長は「空飛ぶクルマが社会実装されると、災害や緊急時の輸送、都市部の渋滞緩和、離島間や山間部など陸路で不便なところも自由に行ける。1970年の大阪万博の際、JALはジャンボジェット(ボーイング747型機)を就航させた。大量航空輸送時代を築き、ジャンボは空のゲームチェンジャーになった。今回の万博を機に、まったく真逆の小さな機体で、今後の空の移動革命を担う、ゲームチェンジャーである空飛ぶクルマを、安全に空の新しい仲間として迎え入れたい」とあいさつした。

JALが運航するVoloCityのイメージ=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

JALの赤坂社長=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 JALは独ボロコプターが開発するパイロット1人と乗客1人の計2人乗りの「VoloCity」を運航予定。最高速度110キロ、最大航続距離35キロ、最大積載量200キロで、2024年にパリやシンガポールで商業運航を開始する見通し。

 JCABは21日、ボロコプターからのTC申請を受理。2021年10月29日付のSkyDrive、2022年10月18日付のJobyに続く3件目の受理となった。

 丸紅は、英Vertical Aerospace(バーティカルエアロスペース)のVX4を運航予定。パイロット1人と乗客4人の計5人乗りで航続距離は160キロ超を計画しており、丸紅は25機分の購入予約権を取得済み。実証実験の一つとして、大阪府内で陸路では4時間かかる場所までヘリコプターで30分で飛行するモニターツアーを実施している。

丸紅が運航するVX4のイメージ=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 SkyDriveは、初の商用機SD-05でTCを取得を目指し、2025年に事業開始を計画している。パイロット1人と乗客1人の計2人乗りで、最大巡航速度は約100キロ、実運用航続距離は5-10キロとなる見込み。福澤知浩CEOは「SD-05は世界で最も軽量コンパクトなサイズ。最終的に空飛ぶクルマが自動車や自転車のようにどこでも簡単に飛べることを目指している」と説明した。

SD–05の模型を手にするSkyDriveの福澤CEO=23年2月21日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 4グループの機体とも、パイロットが乗って操縦する。操縦に必要なライセンスは、各機種で機体の構造や操縦方法などがバラバラであることから、機種ごとのライセンスになる。

 21日で万博開催まであと782日。大阪府の夢洲(ゆめしま)で、2年後の2025年4月13日から10月13日までの184日間開かれる。

関連リンク
2025年大阪・関西万博
全日本空輸
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丸紅
SkyDrive

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