FAA(米国連邦航空局)は現地時間2月23日(日本時間24日)、ボーイングが787型機の引き渡しを一時停止していることを明らかにした。ウォール・ストリート・ジャーナルやロイター通信などによると、胴体部分の分析作業を追加で実施する必要があり、FAAが了承するまで納入は再開されない。
問題となっているのは、787の前方圧力隔壁に関するサプライヤーの分析ミスで、ボーイングが認証記録を調べたところ発見されたという。
ボーイングは「運航中の機体について、ただちに飛行の安全に関する懸念はない」とコメントしている。
787は、2020年に胴体接合部の不具合が発覚。その後も品質問題が指摘され、2021年10月には過去3年間に使われたチタン製部品の中に、本来の強度に満たないものがあることがわかった。納入ゼロの状態が2021年7月から2022年7月まで13カ月連続で続いたが8月10日に納入を再開し、アメリカン航空(AAL/AA)へ787-8(登録記号N880BJ)を引き渡した。
また、2022年12月には、ユナイテッド航空(UAL/UA)が787を最大200機発注する契約を締結。確定発注とオプション(仮発注)が100機ずつで、787の発注では過去最多となり、米国の航空会社によるワイドボディ機の発注としても最多になった。大型機の777と中型機の767の後継機として国際線と米国内線に投入するもので、2024年から2032年までに引き渡される見通し。燃費が良く運航コストを抑えられる787を追加導入することで、767を2030年までに全機退役させる。
日本の航空会社では、ANAホールディングス(ANAHD、9202)傘下の全日本空輸(ANA/NH)が2022年12月末時点で79機(787-8:36機、787-9:40機、787-10:3機)ある787を、2030年度には100機以上に増やす。ANAHDは2020年2月に787を最大20機追加発注済みで、確定発注は超長胴型の787-10が11機、長胴型の787-9が4機の計15機となり、このほかに5機の787-9をオプション契約(仮発注)している。
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