ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2021年7月14日 11:18 JST

787、品質問題で生産レート5機以下に 年内納入は半分以下に

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 ボーイングは現地時間7月13日、787型機の生産レートが月産5機を一時的に下回ることを明らかにした。787はFAA(米国連邦航空局)から製造時の品質問題を指摘されており、引き渡し前の機体に新たな修正作業が生じているためで、ボーイングは年内に予定していた完成済みの787の納入は半分以下になるとの見通しを示した。

品質問題により787の生産レートを引き下げるボーイング=PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 787は昨年、胴体接合部の一部で不具合が製造段階で発生。11月から2月までは引き渡しを一時中断し、3月に再開したものの、5月に再度中断する事態となった。ボーイングの納入実績によると、5カ月ぶりに再開した3月は787を2機、4月は9機引き渡したものの、5月は2機、6月は1機と減少した。ボーイングによると、運航中の機体に影響はないという。

 ボーイングのデビッド・カルフーン社長兼CEO(最高経営責任者)は、4月28日の会見で約100機ある完成済みの787について、大半を年内に引き渡せるとの見通しを示していた。今回の発表によると、未納入の787に必要な追加の修正作業を特定できたため、数週間はこれらの作業と検査を優先するとしている。これにより、生産レートが一時的に月産5機を下回ることから、完成済みの787のうち半分以下しか年内に引き渡せないと説明している。

 これまでは787の最終組立工場は2拠点あり、ワシントン州シアトル近郊のエバレットとサウスカロライナ州ノースチャールストンで製造していたが、今年3月にノースチャールストンへ集約。2020年12月時点の月産レートは10機だったが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響もあり、不具合問題が解決後も今年半ばから月産5機に再減産する計画になっていた。

 ボーイングの受注リストによると、6月末時点でキャンセル分を含む787の総受注は1891機で、標準型の787-8が656機、長胴型の787-9が1020機、超長胴型の787-10が215機。引き渡し済みの機体は1006機で、787-8が377機、787-9が568機、787-10が61機となっている。受注残483機のうち、787-8は39機、787-9が318機、787-10が126機で、787-9がもっとも多い。

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