エアライン, ボーイング, 機体, 解説・コラム — 2013年8月14日 18:55 JST

全日空の787、エンジン用消火器で誤配線 製造ミスの可能性

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 全日本空輸(ANA)は8月14日、羽田発フランクフルト行きNH203便のボーイング787-8型機(登録番号JA813A)で、出発準備中にエンジン用消火器の誤配線が見つかり、修理を行った上で出発したと明らかにした。当該箇所は機体受領時や整備時に点検を行う箇所ではないため、製造ミスの可能性が高い。

787定期便再開初便として羽田を出発するANAのJA813A=6月1日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 この影響で、NH203便は定刻から1時間42分遅れの午前2時42分に羽田を出発。そのほかの便に影響は出なかった。また、日本航空(JAL、9201)のヘルシンキ行きJL413便も点検のため、成田へ引き返した。

 ANAによると、羽田でNH203便の出発準備を行っていたところ、コックピット内で消火ボトル関連の不具合を知らせる表示が出た。点検の結果、機体前方貨物室の側面にあるエンジン用消火器を制御する配線が適切に行われていなかった。

 仮に誤配線のままでエンジン火災が発生すると、別のエンジンに消火剤が噴射される可能性はあるが、火災が起きていないエンジンの正常運転に影響はないという。

 ANAは当該機を昨年8月30日に受領。エンジン用消火器の配線状態は、受領時や整備時の点検対象外だった。このため、機体の製造工程に問題があった可能性が高い。当該機は6月1日の787による定期便再開時にも使用された。

 ANAでは、保有する全20機の787を点検したところ、当該機を含む3機に異常が見つかり、2機の修理を終えた。

 一方、JALでは国土交通省航空局(JCAB)から誤配線に関する連絡を受け、全10機を点検中。すでに8機の点検を終えており、14日中に完了する見通しで、今のところ異常は見つかっていない。

 JALでは点検のため、成田を午前10時30分に出発したヘルシンキ行きJL413便(787-8、登録番号JA822J)の引き返しを午後0時45分ごろ決定。ハバロフスクの東約130キロ付近の上空で引き返した。乗客184人と乗員11人の計195人にけがはなかった。

 JL413便は午後3時20分に成田へ到着。点検済みの787(登録番号JA825J)に機材を変更後、7時間10分遅れの午後5時40分に再出発した。

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【お知らせ】
誤字を訂正しました。(2013年8月14日 19:53 JST)