エアライン, 機体, 空港 — 2022年3月7日 16:41 JST

元HACのサーブ2号機、白塗りで新千歳から離日 国内航空会社最後の機体

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 北海道エアシステム(HAC、NTH/JL)が1998年の就航当初から運航してきたサーブ340B型機(1クラス36席)のうち、最後まで残った2号機(登録記号JA02HC→VH-EFW)が3月7日、給油のため訪れた新千歳空港を出発し、売却先の米国へ向かった。同機は国内の航空会社が運航する最後の同型機となった機体で、HACが就航当初乗り入れていた新千歳からの離日となった。

新千歳空港を出発する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2号機は1998年5月7日に引き渡され、JALの鶴丸塗装を描いた現行塗装の初便は2016年4月28日の丘珠発函館行き233便だった。全3機のサーブ340Bの中では最初に鶴丸塗装に塗り替えられた。定期便のラストは2021年12月26日の函館発丘珠行きJL2740便。当初は丘珠-函館線と釧路線合わせて2往復4便の運航を予定していたが、降雪の影響で同便が最終便になった。JL2740便の運航を終えた時点の総サイクル数は6万2543サイクル、総飛行時間3万9177時間42分となった。

 売却整備を行う鹿児島空港へのフライトは翌27日を予定していたが、大雪が降り続いたため延期。このフライトを活用し、三沢空港と中部空港(セントレア)を経由しながら日本列島を約8時間かけて南下するチャーターを予定していたが中止となった。雪に翻弄された2号機は、最終運航から3日後の29日に鹿児島へフェリーされた。

 HACのサーブは、全3機を米C&L Aviation Group(C&Lアビエーション・グループ)傘下のC&L Aerospace(C&Lエアロスペース)が購入。最初に退役した3号機は貨物機に改修された。

 7日に日本を発つことになった2号機は、鹿児島を午前10時15分に出発し、同25分に離陸。経由地の新千歳には午後1時35分に着陸し、同39分に到着して給油が行われた。運航はC&L社が手配したパイロット2人が担当し、新千歳を午後3時53分ごろ離陸して、米アラスカ州アンカレッジへ向かった。

 HACは、旧日本エアシステム(JAS、現JAL)と北海道による第3セクターとして1997年9月30日に設立され、最初の路線の札幌(新千歳)-函館線が1998年3月28日に就航した。JASが日本航空(JAL/JL、9201)と統合後はJALの子会社になったが、経営破綻後の2011年3月にJALが経営から一時撤退。再建後の2014年10月に再子会社化し、2016年10月30日からはJAL便名で運航している。現在拠点としている丘珠空港には、2003年8月1日に就航した。

*写真は7枚(12月撮影除く)。

丘珠空港に到着するHACのサーブ340B定期便最終となった函館発JL2740便=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

丘珠空港の格納庫で最後の定期便運航を終えたサーブ340Bの2号機の清掃を終えたHACの武村社長と社員=21年12月26日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新千歳空港を出発する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新千歳空港を出発する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新千歳空港を出発する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新千歳空港を離陸する元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新千歳空港を離陸しアンカレッジへ向かう元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

新千歳空港を離陸しアンカレッジへ向かう元HACのサーブ340B 2号機=22年3月7日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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