企業, 官公庁, 機体 — 2021年10月8日 11:41 JST

伊那市と川崎重工、無人VTOL機で山小屋の物資輸送検証 中央・南アルプスで

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 長野県伊那市と川崎重工業(7012)は、中央アルプス・南アルプスで大ペイロードの無人VTOL(垂直離着陸)機を使い、物資輸送プラットフォーム構築プロジェクトを始めた。今年度から5年間のプロジェクトで、2023年度から物資を運ぶ実証実験を始める見通し。

川崎重工のNinja H2R(右)のエンジンを搭載し飛行試験に成功したK-RACER(同社提供)

昨年飛行試験に成功した川崎重工のK-RACER(同社提供)

 山小屋への物資輸送は現在ヘリコプターを使用しているが、送電線工事や公共事業の増加、パイロット不足などで運用可能な機体の確保が難しくなっており、全国で多くの山小屋が影響を受けているという。山岳特有の気象状況に適応し、長い距離と大きな標高差を安定して飛行できる川重の無人VTOL機「K-RACER」を使い、将来にわたって持続可能で効率的な輸送スキームの構築を目指す。

 K-RACERは昨年飛行試験に成功し、2025年度中の型式証明(TC)取得を目指す。直径4メートルのメイン・ローターのほか、テール・ローターの代わりに左右両舷に主翼とプロペラを装備。メイン・ローターの回転で発生するトルクを左右のプロペラが打ち消し、前進推力を発生することができる。また、前進飛行では主翼が揚力を分担することでメイン・ローターの負担を軽減し、従来のヘリでは達成できなかった高速飛行が可能になった。エンジンは同社製オートバイ「Ninja H2R」のスーパーチャージドエンジンを搭載している。

 無人飛行は、無人地帯内の目視外自動飛行ができる「レベル3」で、ペイロードは100キログラム以上、継続航行距離は100キロメートル以上、上昇能力は2000メートルを計画している。

 今年度は川重が参画する形でのプロジェクトが9月から本格化し、2022年度にかけて飛行ルートの策定などを進める。2023年度と2024年度は物資を運ぶ実証実験、最終年度となる2025年度はサービスの構築を進めていく。プロジェクトには川重のほか、KDDI(9433)が通信や運航管理システムの開発支援、ゼンリン(9474)が飛行ルート構築を地図分野で支援する。

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