エアバス, エアライン, 機体, 空港, 解説・コラム — 2021年7月27日 21:45 JST

スターフライヤー、初の購入機8号機が離日 ロゴ消し女満別経由で米国へ

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 スターフライヤー(SFJ/7G、9206)が2012年に初めて自社購入機として導入したエアバスA320型機の8号機(登録記号JA08MC)が7月27日、本社のある北九州空港を出発し、リース会社へ返却するため米国へ向かった。当初は購入機だった8号機は、セール・アンド・リースバックでリース契約に切り替えたため、期間満了による退役となった。便名は社員の希望により、7G3908(サンキューゼロハチ)便と名付けられ、北九州から北海道の女満別、米アラスカ州アンカレッジを経てアリゾナ州ツーソンへ向かっている。

女満別空港を離陸しアンカレッジへ向かうスターフライヤーのA320 8号機JA08MC フェリーフライト7G3908(サンキューゼロハチ)便=21年7月27日午前11時11分 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

—記事の概要—
グアム就航視野にETOPS取得
「気持ちよく着陸させてくれる機体だった」

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 8号機は9年前の現地時間2012年12月10日に受領し、本社のある北九州空港には同月14日に到着した。座席数は1クラス150席で、エンジンはCFMインターナショナル社製CFM56-5B4/Pを採用。機体後部に7号機までは「City of Kitakyushu」と書かれていたが、8号機は「Heart of Kitakyushu」に改めた。ギャレー(厨房設備)は、7号機まではスターフライヤーが製造メーカーを選定していたが、エアバスのカタログ掲載モデルに変更された。

北九州空港に着陸したスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=12年12月14日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 2013年の就航を念頭に計画していた北九州-グアム線に投入するため、洋上を長時間飛行する際に必要な航空当局の承認「ETOPS(イートップス)」を取得。左右のエンジン整備を同一人物が行ってはいけないなど、通常とは異なる管理が必要なため、スターフライヤーによると体制づくりに多大な労力を要したという。

 また、貨物コンテナの搭載に対応。通常は右翼のみの燃料給油口を左翼にも増設し、機体右側で行われる貨物の搭降載の妨げにならないようにした。

機体左後部にデカールが貼られたスターフライヤーのシン・ゴジラジェット=16年7月10日 PHOTO: Tatsuyuki TAYAMA/Aviation Wire

 初便は2012年12月22日の北九州発釜山行き7G301便。商業運航の最後は今年4月19日の羽田発北九州行き7G87便だった。昨日7月26日時点の総飛行時間は2万1480時間、総飛行回数は1万7426回で、就航10周年を迎えた2016年元日に初日の出フライト、同年7月10日には映画『シン・ゴジラ』とコラボレーションしたデカール機「シン・ゴジラジェット」としても活躍した。

 当初は購入機だった8号機がセール・アンド・リースバックにより、リース契約に切り替えられたのは2014年。同年3月期通期決算で30億4000万円の最終赤字を計上したことから、同年5月21日にリース契約に切り替えたことを発表した。契約先は三井住友ファイナンス&リース(SMFL)で、譲渡額は36億1900万円だった。

「気持ちよく着陸させてくれる機体だった」

 8号機は当初、北九州空港で引き渡しを予定していたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で外国籍のパイロットが入国できなくなったため、スターフライヤーのパイロットが米国まで空輸することになった。機体のロゴと登録記号のJA08MCはすでに消されており、フェリーフライトのため登録記号はテープの上に記されていた。

北九州空港を出発するスターフライヤーのA320 8号機JA08MCを「08MCお疲れ様でした!」と書かれた横断幕を手に見送る社員=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

 北九州からアンカレッジへ向かう際、女満別空港経由としたのは、A320でアンカレッジまで飛行できる距離であることや、イレギュラーが発生した場合にパーツの取り寄せや整備作業を行いやすいことなどから決めた。

 27日は、横断幕を手にした社員に見送られ、フェリーフライトの7G3908便として北九州空港の5番スポットを午前7時30分に出発。同40分に滑走路(RWY36)を離陸し、翼を振って北九州に別れを告げた。離陸後は右旋回し、周防灘、山口県光市、広島県広島市、島根県奥出雲町、鳥取県米子市、同県大山町から日本海に出て、石川県の能登半島、新潟県の佐渡島、同県村上市、山形県鶴岡市、秋田県東成瀬村、岩手県花巻市、同県岩泉町から太平洋へ抜け、北海道釧路市の西に位置する白糠町から道内に入り、雄阿寒岳の東を通って美幌町へ入り、女満別空港の滑走路(RWY36)に午前10時1分に着陸し、4番スポットに同5分に到着した。

 北九州から女満別までは、齊藤九五機長(PIC、左席)と田子真也副操縦士が担当した。齊藤機長は、「快晴で視界が良く、8号機の良い将来を予感させるいい天気でした。8号機は足回りがお気に入りで、パイロットの評判が良かったです。着陸時の接地も気持ちよく着陸させてくれる機体でした」と振り返った。

 女満別からは、先に現地入りしていた張間義弘機長と宇田川憲明機長に交代。給油を終えた8号機は、午前11時に出発。PICは張間機長が務め、同11分にRWY36から離陸し、アンカレッジには現地時間26日午後11時48分(日本時間27日午後4時48分)に到着して空輸1日目のフライトを終えた。

*写真は30枚。

北九州空港のスターフライヤー本社でブリーフィングする齊藤九五機長(右)と田子真也副操縦士=21年7月27日午前5時57分 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港で出発を待つスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ロゴが消されたスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

ロゴが消されたスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スターフライヤーのA320 8号機JA08MCのログブック=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スターフライヤーのA320 8号機JA08MCの機内で出発前にブリーフィングする齊藤九五機長(左)=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港出発前にスターフライヤーのA320 8号機JA08MCの前に並ぶ齊藤九五機長らフェリーフライト関係者=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港出発前にスターフライヤーのA320 8号機JA08MCの前に並ぶ齊藤九五機長(右)と田子真也副操縦士=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港を出発するスターフライヤーのA320 8号機JA08MCを「08MCお疲れ様でした!」と書かれた横断幕を手に見送る社員=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港を出発し地上スタッフに手を振る田子真也副操縦士=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港からスターフライヤーのA320 8号機JA08MCを離陸させる齊藤九五機長(左)と田子真也副操縦士=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

北九州空港を離陸しスターフライヤーのA320 8号機JA08MCのギアを格納する田子真也副操縦士(右)=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

スターフライヤーのA320 8号機JA08MCの機内=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

経由地の女満別空港に到着するスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港でスターフライヤーのA320 8号機JA08MCの前に並ぶ(左から)宇田川憲明機長、張間義弘機長、齊藤九五機長、田子真也副操縦士=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港から最終目的地ツーソンまでのフェリーフライトを担当する宇田川憲明機長(左)と張間義弘機長=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港出発前にスターフライヤーのA320 8号機JA08MCの機内でブリーフィングする宇田川憲明機長(左)と張間義弘機長=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港出発前にスターフライヤーのA320 8号機JA08MCのコックピットで写真撮影に応じる張間義弘機長(左)と宇田川憲明機長=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港でスターフライヤーのA320 8号機JA08MCに搭乗した宇田川憲明機長らに手を振る齊藤九五機長=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港で出発を待つスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港を出発するスターフライヤーのA320 8号機JA08MCのコックピットから手を振る張間義弘機長(右)と宇田川憲明機長=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港を出発するスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港を出発するJA08MCを見送るスターフライヤーの社員ら=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港を出発するスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港を離陸するスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

女満別空港を離陸し経由地のアンカレッジへ向かうスターフライヤーのA320 8号機JA08MC=21年7月27日 PHOTO: Tadayuki YOSHIKAWA/Aviation Wire

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